「良太、俺のことなんか、かまってらんないみたいだし」
「すねたような言い方すんな。俺には俺の仕事があんの。ほら、着いたぞ」
小笠原が自分に懐いてくれるのはいいのだが、実際問題として、良太が小笠原のマネージメントを全面的に引き受けるとすれば、今の仕事を全てほっぽってくらいでないと、できるものではない。
小笠原のドラマの撮影を待つ間、良太は下柳と連絡をとり、最終的な打ち合わせをした。
『こっちは半端じゃなく寒いぞ。覚悟しておけ』
昨年十一月の終わり、一度、富良野を訪れた際に充分それはわかっているつもりだった。
北海道東部、根室半島から野付半島。
特に釧路湾から続く風蓮湖に飛来する、大白鳥を始めとする渡り鳥たちをを取材することになっている。
良太は一応名ばかりのプロデューサー。
厳寒の地に集う白鳥たちには、何やら胸踊らされるものがある。
CMやドラマ出演が嫌いだったわけではない。
その時は全力を尽くしたつもりだ。
だが今度の仕事は、スポーツ番組とも違う、何か厳粛な気持ちでいる。
気合、入れていかなきゃな。
この仕事を通して、良太は少しでも工藤に近づけるような気がしていた。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
