静かな夜には8

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「良太、俺のことなんか、かまってらんないみたいだし」
「すねたような言い方すんな。俺には俺の仕事があんの。ほら、着いたぞ」
 小笠原が自分に懐いてくれるのはいいのだが、実際問題として、良太が小笠原のマネージメントを全面的に引き受けるとすれば、今の仕事を全てほっぽってくらいでないと、できるものではない。
 小笠原のドラマの撮影を待つ間、良太は下柳と連絡をとり、最終的な打ち合わせをした。
『こっちは半端じゃなく寒いぞ。覚悟しておけ』
 昨年十一月の終わり、一度、富良野を訪れた際に充分それはわかっているつもりだった。
 北海道東部、根室半島から野付半島。
 特に釧路湾から続く風蓮湖に飛来する、大白鳥を始めとする渡り鳥たちをを取材することになっている。
 良太は一応名ばかりのプロデューサー。
 厳寒の地に集う白鳥たちには、何やら胸踊らされるものがある。
 CMやドラマ出演が嫌いだったわけではない。
 その時は全力を尽くしたつもりだ。
 だが今度の仕事は、スポーツ番組とも違う、何か厳粛な気持ちでいる。
 気合、入れていかなきゃな。
 この仕事を通して、良太は少しでも工藤に近づけるような気がしていた。

 


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