アンティークな大きな長方形のダイニングテーブルには側面に四脚ずつの肘なし椅子、両端には二つの肘つき椅子が置かれ、両端に二人分の食事が用意されていた。
「こちらへどうぞ」
千雪が席に着くと、早速平造がスープを皿に盛りつける。
「社長は仕事が終わらないと召し上がりませんから、どうぞ召し上がって下さい」
「ほな、遠慮なく、いただきます」
サラダとパンが用意され、サンラータン風の少し酸味が効いたスープはメインディッシュがこくのあるビーフシチューだったから、さっぱりしてて美味い。
千雪が下手なレストランに行くより美味いとビーフシチューを堪能している頃、ようやく工藤がやってきた。
「お先にいただいてます」
一応そう声をかけたが、工藤は「ああ」とだけ返し、「俺には全部一緒に持ってきていいぞ」と平造に言う。
いかにもヤクザの成り上がり社長ってやつやな。
品の良し悪しとかで人を判断する千雪ではないが、工藤に対してだけは何となく見下し気味に考えてしまう。
しかし、デザートのティラミスを一口食べた千雪は、思わず、「これ、うまいな。これもおっちゃん作ったん?」と工藤にコーヒーを用意していた平造に尋ねた。
「昔、人に教わりまして。口に合いましたかな」
「ほんまに美味い。よかったらレシピ教えてくれへん?」
「ええですよ。作りなさるんで?」
「まさか、小夜ねぇに教えてやろ思て」
「ああ、従姉さんでしたか。チーズケーキを何度も挑戦したっていう」
「そやね、今、ケーキ作りにはまってるらしい」
おにぎりを食べながら昼に小夜子のそんな話もしたのだが、ふと工藤と目があって、千雪は口をつぐむ。
工藤は何か言いたそうな顔をしたが、何も言わず食事を続けた。
それに何度か携帯が鳴って、うるさそうに出て怒鳴りつける以外は、食事中の仕草や振る舞いはむしろ紳士然として品が悪いイメージとはかけ離れている気がしないでもない。
だからといって、このエロおやじを許すいうわけやないからな。
にほんブログ村
いつもありがとうございます
