おそらく千雪自身はわかってはいない、艶やかな吐息と同時に触れたものを狂わすような色香を放ち、京助はそれに囚われて身動きできなくなる。
ふとした時にその首に置いた指に力を込め、千雪を殺してしまいたくなる。
狂気などどこにも存在するのかもしれない。
千雪を殺して我と我が身を呪い、絶望とそして永遠に千雪を己のものにした悦びに狂い、己の命を絶つ自分が見える。
殺人者の狂気は、歯止めが利かなくなったところで一気に加速する。
かろうじて京助の中に残っている理性が、京助を殺人者とすることを阻止しているだけだ。
工藤という男の出現は、京助にこの京都にいるあの男のことを改めて再認識させた。
さらに、己の中の千雪に対する凄まじいほどの恋情を思い知らせてくれた。
こんな思いは少なくとも今まで知らなかった。
好きなんて生易しいもんじゃない、覚悟しろよ、千雪。
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