「桐島も送ったかも知れんやろ」
「まあ、そん時はそん時や」
千雪が言うと、三田村はやけくそ気味で返した。
「まだ予定日は二カ月先らしいけど」
「そうか。ほんであのアホ旦さん、まだ離婚せえへんのんか?」
行いを考えれば当然と言えば当然だが、江美子の夫は、同級生の間ではかなり辛辣な言われようだ。
「うーん、今は生まれてくる初孫のことだけでいっぱいで、おっちゃんらも放っとるらしいけど」
「そうか、まあ、生まれてもしばらくは孫中心やろけど、落ち着いたら、アホ旦さんのことも考えンとな、江美ちゃんも」
「せやな」
子どものことは誰もが喜んでいるし、江美子も幸せそうな顔をしているが、これ以上江美子が家の犠牲になる必要はないはずだ。
それは江美子の両親もわかっていることだろう。
きっちりけじめをつけて、江美子は江美子で自分の幸せを考えた方がいいのだ。
けじめか。
俺こそやな。
千雪は心の中で呟いた。
三田村と桐島から江美子にお祝いが届いたと、菊子からラインがあったのは翌日のことだ。
研究室で学生の論文を読んでいる時に、携帯が鳴った。
『桐島さんからと、三田村と桐島さん連名で届いたらしいけど』
菊子のラインに、三田村から勝手に連名で送ったらしいと返信すると、男一人からやと体裁悪いからて適当な言い訳しといたけど、と返ってきた。
『まだ、冷戦状態なん? 三田村と桐島さん』
『せやな、桐島さん、ピアノのことで煮詰まってるらしいから、しゃあないな』
『そうなん。研二くんは元気?』
『えろ、忙しいらしい』
千雪が小夜子と紫紀の披露宴の菓子を頼まれたことを告げると、『そら、大変やけど、すごいわ!』と返ってきた。
『十一月の後半やけど、京都のおっちゃんらにも助っ人頼んだみたいやから、やさか総出で向かうみたいやで。小夜ねえのとこで試作品見たけど、芸術品や』
見たいという菊子に、当日までは社外秘だが、当日には画像を送る、と返信した。
笑みを浮かべながらラインでやり取りをしていた千雪は、ふと視線を感じて顔を上げた。
案の定、じっとこっちをみている佐久間の目と合致あったが、佐久間はすぐにそらしてしまった。
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