メリーゴーランド105

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「あとは箱やリボンなんかは、デザイナーさんとまたいくつか、プラン出しますよって」
「お願いします。私はこの路線でいいと思うわ。と言うより文句なしよ」
「わかりました」
 研二はにこやかに言った。
「なあ、結局招待客て、何人?」
 千雪は小夜子に尋ねた。
「紫紀さんはこないだのパーティは多すぎたっておっしゃってて、少し人数を抑えようということになったの。大体五百人くらいかしら」
「抑えて五百人?」
 思わず千雪は声を上げた。
「まあ、いざとなったら京都の店臨時休業にして、親父とオフクロにもこっち来てもろて、あとうちの職人さんとかも、総出やな。それに、こないだ決まったこっちのスタッフには即戦力になる職人さんが二人いてるんや」
 千雪はそれでも心配そうな顔をした。
「そんな顔せんでも、いざとなったら、頼りになる助っ人もいてるし、何とかなるて」
 それにしても、あらためて研二は凄い、と千雪は思う。
 ここまで創り上げるのに、どれだけ試行錯誤して、創り上げたのだろう。
 千雪が東京でうだうだしているうちに、こんなすごい職人になって、自分の店を任されようとしている。
 それをちゃんと認めてくれる人がいるということが既にすごい。
「研二はすごいなあ」
 思わず言葉がこぼれていた。
「何言うて、ただの菓子職人や言うたやろ」
「いいえ、ほんとに、すごいと思うわ。ごめんなさいね、言葉が足りなくて」
 小夜子も千雪に同調した。
「もっとご自分に自信を持ってくださいな」
「ありがとうございます」
 研二はそのまま芝にも見てもらうことになっているというので、大和屋で別れ、千雪はアパートに帰ったが、パソコンに向かっていても、夜になるまであまり作業も進まなかった。
 俺もがんばらんとあかんな。
 京助の言うように、ファンがアパートに押し掛けるようなことにはならないとは思うが、映画になることで原作もあらためて読まれ、評価の対象になる可能性もある。
「まあ、三文探偵小説にしてもや」
 しばらく出張でいなかったらしい三田村から電話があったのは、そんなことを呟いていた時だ。
「へえ、研二、すごいな」
 研二の菓子のことを話すと、三田村からも同じような言葉が返ってきた。

 


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