メリーゴーランド112

back  next  top  Novels


「はあ……千雪先輩、ほんまに怒るとブリザード並みに怖いですもんね……はあ……」
 佐久間も身に染みているようで、大きな溜息をついた。
「大体、お前、正月に千雪のうちまで押しかけといて、わからなかったのかよ?」
「そんなん、わかるわけないですやろ? やたら飲ませられて、気がついたら朝になってしもて……」
「は、やつら、千雪の同級生ら、みんなで結託してるからな」
 フンっと京助は笑う。
「ああ、その通り。俺も見事にやられたぞ。名探偵のご学友に。名探偵に何かしようもんならただじゃおかないってな」
 速水が口を挟む。
「でも何だってあんなコスプレみたいな…………別人……ってか……」
「あれは高校まで女の子に追いかけまわされてトラウマになったらしくて、大学デビューであのコスプレに至ったらしい」
 京助の代わりに速水が答えた。
「はあ……」
 佐久間はがっくりと項垂れた。
 俺は何も知らんと、てっきり千雪先輩があんななりやから女にモテへんとか思い込んで、何やねんそれ……。
 そら俺の忠告なんか聞く耳持たんわけや。
「俺なんか下僕並みにつくしてやってるのにだ、何だかだと文句言いやがるし」
「お前のははっきり言ってまるでおかあさんだ。食事管理から何から、あの世間知らずな名探偵のために……」
 速水がつらつら口にしている時に、佐久間が急に、ああああっ、と喚いた。
「るせえな、何だよ」
 京助が睨み付けると、佐久間が、「もしかして、あれ、あの、バレンタインの弁当って………」と言う。
「ああ? 俺が精魂込めて作った弁当をあのやろう、さっさと蓋閉じてどっか行きやがって」
「京助先輩がやっぱ作らはったん?」
 佐久間は千雪が開いた弁当の見事なハートマークを思い出していた。
「見て分かっただろう、中身が同じなんだ」
 またぞろ意識が飛びそうに口をあんぐり開けている佐久間に、京助は追い打ちをかけた。 
「お前が想像してる通り、やることはやってるし、俺はあいつと別れるつもりはさらさらないからな」
「名探偵はどうかわらかねぇぞ?」
「るせえんだよ! てめえが邪魔するからだろ!」
 速水のからかいに京助は声を荒げる。 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます