メリーゴーランド113

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 菊子と桐島が交互にその時の状況を口にする。
 周りはみんな、二人の話を息をのんで聞いていた。
「どのくらい経ったか、先生が来て、おばちゃんに何か言うたら、おばちゃん倒れらはって……」
「出血がひどおて………播種性血管内凝固何とかを発症したとか……もう、わかれへん!」
 桐島も段々感情的になり、涙が溢れている。
 二人はその場にいたので、かなりなショックを受けたらしい。
 江美子の母親はもともと心臓が悪く、ペースメーカーを入れてから割とよくなったのだが、江美子の方がこんな形で先に逝くことになろうとは思いもよらなかったはずだ。
「その医者ヤブやったんちゃうか?!」
 三田村が声を荒げた。
「産科危機的出血といって、今はかなり死亡率も抑えられてきたが、様々な原因によってまだ何パーセントの確率で、あるんだよ。高次医療の病院だったらしいし、人間の力が及ばなかったんだろう」
 京助が端的に説明をした。
「赤ちゃんはどないなるん?」
 井原が疑問を呈した。
「予定日より一カ月早かったし、今はまだ新生児室にいるけど、健康な女の子や」
 桐島が言うと、「かわいそうや! ママにも逢われへんで」と菊子がまた泣いた。
「せえけど……江美ちゃんらしい、思わへんか?」
 千雪が言った。
「ちゃんとええ子やろ、て、うちは使命果たしたから、とか今頃空の上でドヤ顔してるんちゃう?」
 千雪の目からポロリと涙がこぼれた。
 それを聞いた菊子と桐島はまた盛大に泣いた。
「そや。江美ちゃん、あれで頑固やし」
「芯の強い子やもんね」
 すると辻が「クソ!」と急に喚く。
「あのアホ旦さん、一発お見舞いしてやらんと気ぃすまん!」
「何? もしかして、お前、久美子に惚れとったとか?」
 三田村が茶化す。
「いや、高校ん時、オンナで俺に声かけてきたん、あいつくらいやったからな」
「江美ちゃん、怖いもんナシなとこあったもん」
 盛大に鼻をかんだ菊子が付け加えた。

 


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