メリーゴーランド124

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 佐久間はそんな千雪に、はあ、と一つ溜息をつく。
「まあ、そら、千雪先輩からしたら………」
 言いかけてはたと佐久間は口を噤む。
 また千雪の前で禁句を並べるところだったと焦る。
 確かに、真夜……、いや千雪先輩ほどきれいなんはそうそうみたことあれへんなあ。
 美人に興味ないんもわからんこともないけどな。
「あの子、京助先輩狙いみたいなんですよね」
「へえ」
 これもあまり興味がないようだ。
 今までなら佐久間ももっとああでもないこうでもないと並べ立てるところだが、京助が釘を刺したように、今のところ京助は千雪以外に目をむけようがないらしい。
 千雪としては内心、こんなところにもいるわけや、と思う。
「ええ性格しとんのんは、日向野とどっちが上か、やな。男をたらし込みたいのが見え見えやけど、まだ日向野よりは可愛ええもんか?」
 これまでは佐久間に対してそんな科白を吐いたことはなかったが、佐久間にばらしてしまったことでつい、千雪は口にしていた。
「先輩………、ひょっとしてそれこそほんまかなりええ性格してます?」
「今頃気づいたんか? こういう毒にも薬にもならへんカッコして静かに気配消しとると、おもろいで? さっきまで教授にへこへこしてたやつが、俺の前やと平気で同僚とクソミソに教授のこと貶したり、裏の顔晒しよる。アホな話や」
 佐久間はガクッと首を垂れる。
「おもろがってからに、先輩、ほんま、やっぱ名探偵コナンでっしゃろ? 陰でこっそり人のこと観察してはるし」
「俺はそう清廉潔白な人間やない」
 千雪は断言してコーヒーを飲み終えた。
「それよりお前、理沙子さん以外に目移りしよると、足元すくわれるで? 彼女みたいな人は、あかん思たらスパッと切るんやないか?」
「ひええええ、やめてくださいよ! そんな………」
 千雪に脅されて、佐久間は慌ててラインを確かめ始めた。
 頃合いを見計らったように千雪の携帯が鳴った。
「ああ、お疲れ様です。はあ、ちょうど原稿は上がったとこですけど」
 青山プロダクションの工藤からで、これからちょっとこられないかという。
 映画のプロモーションで使う、写真の撮影をしたいというのだ。

 


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