正月に集まった面々の話やあいつどないしてるといった話題に終始し、次はまたGWに京都で集まることになり、店を出ると研二と井原、菊子はホテルへと向かう。
三田村と千雪は、また半蔵門線へと歩き始めた時、千雪の携帯にラインが届いた。
「菊ちゃんや」
千雪は立ちどまった。
「どないした? さては部屋に来て、いうお誘いか?」
三田村がからかう。
「いや、何か……江美ちゃんのことで話あるて……何やろ?」
「そんなん口実に決まっとるやろ」
そう言った三田村にもラインが届く。
「ん? 俺も誘いよるとか、菊ちゃん、元気やな」
しかしハートマークもついていないような言葉には何か切羽詰まったものがある気がして、千雪は眉を顰めた。
「この時間やったらファミレスやな」
三田村はそう言うと、またホテルの方へ引き返した。
菊子はホテルのエントランスで待っているという。
「何やね、いったい?」
菊子を見つけると、三田村が聞いた。
「とにかくどこか入ってからや」
菊子は笑っていなかった。
三田村が二人を公園通りのファミレスに連れて行き、奥の席に落ち着くと、コーヒーを前にして、菊子がようやく口を切った。
「江美ちゃんのバカ旦さん、最悪なんよ」
最初の言葉からして千雪には衝撃だった。
「正月が過ぎて、しばらくしてからや、バカ旦さん、うっとこの菊丸いうまだ芸妓になりたての子ぉと前から親密にしたはったん。うちもうちのおかあちゃんも菊丸には口すっぱうして言うたったんよ? せえけど、菊丸も初めての相手やよって、もうこう、なってもて」
菊子が両手をまっすぐ動かして見せた。
「江美ちゃんやおっちゃんらはそれ知ったはったんか?」
千雪がきつい声で尋ねた。
「知ったはるわ。もう町中知ったはるわ、バカ旦さんのことやなんか」
「そんな婿はん、追い出したらええやろ」
三田村も強い口調で言った。
「それがそない簡単にいかんのや。バカ旦さん、江美ちゃんのうちの大事な取引先の社長の三男坊で、傾いとった店に随分援助してもろたんやて」
「金か………」
三田村がはあ、とため息を吐いた。
「それが二月にまたとんでも事件や。菊丸、妊娠しててん。ほんで、バカ旦さん、部屋を買うて菊丸住まわせるとか言い出しよって、ほんまのアホや!」
千雪はそんなことにもじっと耐えている江美子が見えるような気がした。
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