「うわ、何すんのや!」
ソファに押し倒された千雪は喚いた。
「ナニをするんだろ」
「アホ! 俺は怪我人なんやぞ!」
「だからおとなしくしてろ、傷に障らないように」
「帰ってきたばっかで何を考えとんね!」
「二日以上も離れてたんだぞ? もう新幹線の中でやりたいばっかで、タクシー飛ばしてきたんだ」
京助はお誂え向きにシャワーの後だった千雪のパンツを軽く取り去った。
「しかも石鹸の匂いなんかさせてる日には、食うなって方が無理ってもんだろ?」
「もんだろやない! あっ! アホ、触んな! あっ、やめ………!」
言葉通り食われた千雪はあっけなくはじけさせてしまう。
弛緩した千雪の中に、京助はぐいぐいと入り込んだ。
「う……あっ……アホッ……あっ! …いきなり、入れんな! アホ……」
「ちゃんとゴムつけてっぞ?」
「ったりまえやっ! 中で出したりしたら、蹴りだすからなっ!」
悪態をつく千雪の中で京助は蠢いた。
「やれなかった分ご奉仕してやる」
「エロやろー! んなもん、いらん……う…わっ!」
身体を繋げたまま、京助は千雪を抱えたまま後ろに倒れ込み、千雪を抱きかかえるようにしながら腰を揺すった。
身体中を這うように甘い刺激が幾度も襲い、千雪の理性を飛ばす。
京助のご奉仕に結局のところ抗えず、千雪は喘がされ、京助を悦ばせることになる。
やがて口づけがさらに千雪を蕩けさせ、千雪は意識を手離した。
同じような朝を何度も迎えた気がした。
目の前には湯気の上がったコーヒー、プレーンオムレツ、玉ねぎとツナとトマトのサラダ、バターがぬられたパンが、千雪の食欲をそそっていた。
シャワーの後、包帯は京助によってきっちり取り替えられ、シャツの上に茶色のジャージを着た千雪はぼおっとプレーンオムレツを見つめた。
「何やってるんだ、とっとと食え。朝イチから講義あるんだろ?」
新聞を手にコーヒーを飲む京助が言った。
京助はシンプルなシャツの上に浅葱色のセーターを着て、下はデニム。
見るからに清々しそうな法医学研究室助手の出来上がりだ。
そら、たまったもんを思いっきり発散してすっきりやからな。
こっちは気だるい身体が覚めやらず、登校拒否して二度寝したい気分だというのに、と千雪は上目遣いに京助を睨んだ。
「何だ? そういうエロい目で見るなよ。朝っぱらからやりたくなったらどうすんだ」
「言うに事欠いて、何がエロい目や! 年中のべつ幕なしにサカりやがって!」
「冷めるぞ? オムレツ」
暖簾に腕押しな京助の言葉は、しかし千雪の食欲を促した。
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