広尾で三田村を、松濤で研二を拾うと四人はじゃんけんで席を決めた。
最後部に座ることになったのは三田村で、結局助手席には千雪、その後ろに辻と研二が座った。
「一気に行くぞ」
宣言した通り、一度トイレ休憩でサービスエリアに寄っただけで、十時前には車は軽井沢に入っていた。
初めは何だかだと喋っていた後ろの三人だが、そのうち疲れが出たのだろう、眠り込んでいた。
高い塀に囲まれた別荘の古い大きな門を京助は携帯で操作して開けると、車を中へと進ませた。
背後でまた門が閉まり、車は街路灯に照らされた庭の間の道を走り、やがてホテルか何かのような建物の玄関の前で停まった。
中は明かりがついていて、ちょうどその時、玄関扉が開いて中から若者が一人出てきた。
「お疲れ様です」
「公一、お前、また藤原に言われたのか?」
綾小路家の執事藤原の息子である公一は、何かあると手伝わされているが、まだ大学生だ。
「まあ、俺も温泉入りたかったんで」
「ならいいが、好きにしてていいぞ。男五人でぐーたらしに来ただけだ」
「はい」
「まさか、藤原、いないだろうな?」
さすがに京助も藤原がお目付け役のようにいてもらっては困るのだ。
「あ、大丈夫っす。オヤジは会長の仕事で忙しいみたいで」
「お世話になります」
「こんばんは! ご学友さんですか?」
千雪が声をかけると、公一は気さくに聞いてきた。
「お、よろしゅうに。俺ら千雪のご学友ですわ」
辻が愛想よく答えた。
「おう、公一くん、またよろしゅう頼んます」
三田村は原夏緒の作品展の折、手伝っていた公一とは面識があった。
「三田村さん、お久しぶりです」
公一は部屋はどれでも掃除して使えるようになっていると言った。
「そうだ、どうする? 大抵二人部屋だが」
「お、じゃんけん!」
すかさず三田村が言った。
「京助さんも公一さんも」
「俺もかよ?」
京助が渋い顔をした。
「俺、自分の部屋があるんで。あ、似たような部屋ですけど、一人部屋で」
公一が遠慮した。
「一人あぶれるぞ?」
京助が言った。
じゃんけんの結果、辻と京助、三田村と研二、千雪が一人ということになった。
「じゃ、部屋案内します」
公一がコンシェルジュよろしく皆を二階へと連れて行った。
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