メリーゴーランド150

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「お、すっげ! 何、ホテルやん、まるで」
 辻が感嘆の声をあげた。
「風呂沸いてるんで、いつでもどうぞ。温泉ですよ」
 公一はそう声をかけて下に降りて行った。
「風呂、行ってこい。俺は明日の仕込みやっとくし、風呂から上がったら下で一杯やろうぜ」
 京助は辻にそう言って部屋を出て行った。
「何か、ほんまに、よう気が利くアニサンやな」
 辻は京助が出て行ったドアに向かって呟いた。
「何や、千雪はおらんのんか?」
 公一に聞いてやってきた風呂はまるで大浴場だった。
 しかも温泉独特の匂いが籠っている。
 三田村と研二、それに辻は早速温泉に浸かる。
「ひょお、ごくらくごくらく!」
「オヤジはいってんで?」
 三田村の呟きに辻が茶々を入れる。
「確かにゴクラクやな」
 研二も大きく息を吐いた。
「で、千雪は?」
 三田村が言うと、「お前のせいやろが」と研二が切り返した。
「はあ、まさか、あんな中坊の時のことで? まだ風呂入れへんのんか?」
 中学の時の修学旅行で、三田村が千雪をからかって、「お前ほんまに男か」などと千雪の股間を掴んだ事件だ。
 お陰で三田村は見事に千雪に腕を噛まれて、怪我まではいかなかったもののしばらく歯の後が痛かったくらいだが、千雪はそれがトラウマで大浴場には入らない。
「部屋風呂も温泉やねんて、公一さんが」
 研二が言った。
「すんごいなあ、やっぱ、東洋グループの会長の別荘やて?」
「会社の保養所にもなってるんやて。東洋グループ関連の社員なら家族も申し込めばタダで借りられるらしいで」
「おお、ほんまにホテルやもんな、まるで」
 三田村と辻が感心しまくっていると、「明日は掃除せなあかんな、俺らで」と研二が言った。
「ええ?」
 三田村が研二を見た。
「そらそうやろ。公一さん一人だけでやらせるわけにはいかんやろ」
「うーんまあ、一宿一飯の恩義ちゅうやっちゃな」
 辻が頷いた。
「ほんまになんか合宿みたいやな」
 研二が笑う。
「ええやん。温泉でホテル並みの部屋で、何かせな、バチあたるわ」
 辻が言うと、「お前らほんま、体育会系やんな」と三田村が苦笑する。
 その頃、部屋風呂に入った千雪は階下に降りて行くと、キッチンにいる京助に声をかけた。
「てったおか?」


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