「慣れねえことしなくていいが、やつら風呂から上がってくるだろ、缶ビールとそこのつまみ、リビングに持ってってやれ」
「わかった」
千雪は京助に言われた大皿をリビングへと運んだ。
鶏肉の唐揚げ、枝豆、ピーマンと玉ねぎ、トマトと海老のマリネ、チーズの盛り合わせなどが皿にドーンと並んでいる。
「あ、うまそ」
公一も風呂上りらしくタオルを首にかけてやってきた。
「お前も一緒に飲むだろ?」
「いいんすか? やった!」
素直に喜んで公一は千雪と一緒につまみと缶ビールをリビングへ運ぶ。
みんな一応夕食は済ませてきたはずだが、飲みとなれば別だ。
「おおおおお! すっげ!」
最初にリビングにやってきた三田村が声を上げた。
辻と研二もやってきたがそれぞれTシャツとデニムやジャージである。
「皆さん、湯冷めしないでくださいね。エアコンは入れてありますけど、この辺りもう冷えますから」
上下ジャージの公一が声をかけた。
「おう、わかった」
「千雪さん、面白い色の組み合わせっすね」
公一が不思議そうに言った。
上下ジャージだが、上は茶色、下は鼠色っぽいブルーという、いつものいでたちだ。
しかもジャージの襟は何故かレインボーカラーだ。
「ジャージ、適当に持ってきたよって」
「エキセントリックとか言えばそうか知れんな」
三田村が笑う。
「ええんやこれで」
千雪はムッとして言い張った。
「まあ何でもいいさ。うちみたいなもんだ」
そこへ京助がアツアツのピザを二皿持って現れた。
缶ビールで乾杯の後、ピザなどあっという間になくなり、京助が焼酎や日本酒を持ってくると、本腰を入れて飲み会となった。
千雪も結構飲んだが、京助は世話役に徹しているようで、何だか少し申し訳なく思った。
江美子の葬式の後、千雪の家に集まった時も、京助は同級生らを見守るように世話をしてくれた。
空手部の合宿なども京助が後輩の面倒をよく見ていたというし、元々体育会系なのは千雪もわかるのだが、京助が巷で言われているようにただのタラシの御曹司ではないことだけは確かだと思う。
合宿と言えば高校の剣道部を思い出すのだが、千雪にはどちらかというと楽しい思い出より嫌な思い出の方が強く残っている。
「何か高校の部活の合宿思い出してもうた」
千雪の心の呟きが聞こえたかのように三田村が言った。
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