「お前も体育会系だったのか?」
「俺、サッカー部で」
京助に聞かれて三田村が答えた。
「研二が柔道部、千雪が剣道部、辻は……、校外ゾク部か?」
途端みんなが笑った。
「お前ら、なかなか上下関係キビシー世界やってんで?」
辻がニヤニヤと笑う。
「腕っぷしも鍛えたよな」
三田村がさらに突っ込む。
「けど俺、一年の時の部長、絶対シゴキやった思うで」
千雪が口にしたのは、剣道部の部長のことだ。
中学の大会で活躍し、近くの道場でかなり熱心に稽古に打ち込んでいた千雪は、高校に進学し、二年の時に全国大会で三位まで行った当時の部長で、三年の山下に会えるのを楽しみにしていた。
ところが千雪の思惑に反して、山下は妙に千雪にきつくあたり、千雪だけ居残りで掃除をさせられたり、夏の合宿でも他の一年は買い出しに行かされたが、千雪だけ居残りで賄いをやれと命じられた。
確かにみんなに厳しい部長ではあったが、とりわけ千雪へのあたりがきつかったことは、千雪の被害妄想だけでなく、周囲も認めるところだった。
ただし、暴力などをふるうわけでもないため、担当教師もそれを取り立てて問題視していなかった。
「何だお前、先輩のシゴキにあったのか?」
京助が笑いながら聞いた。
「あれは絶対理不尽やった。安川も一時、俺に一緒に談判しよ、言うてくれたんやけど、研二が部長は夏が終わったら引退や言うし」
「そんなこともあったな」
研二が苦笑する。
「ようゆうわ! 俺なんか、ほんまに何で俺だけこんな目ぇに合うんやて、悔しうて!」
「何だ、何やらされたんだ?」
京助が険しい顔でまた聞いた。
千雪は居残りや合宿の時の扱いやらについて並べ立てた。
「せえけど、お前、結局反論もせずに部長の命令に従うたやろ」
研二が言った。
「まあ……」
「お前のこっちゃ、ほんまに理不尽や思たら、絶対くってかかっとったやろ。先輩やろうが先生やろうが」
そうやって研二に筋立てて言われると、千雪も首を傾げる。
「まあ、やから俺が二年になった時は、シゴキとか絶対せえへんようにしよ思て」
すると、三田村が、ハイ、と挙手した。
「何だね? 三田村くん」
京助が三田村に合わせる。
「そのことについて、実は裏の話があって」
「裏の話? 何や、おもろなってきたな」
辻が身を乗り出した。
「おい、三田村」
研二が三田村を制するように言った。
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