すると菊子はきっと千雪を睨むように見た。
「うちも江美ちゃんも、真由子さんが欲しいほんまの答えを知っとる」
「あちゃあ、そらあかんわ」
三田村が無暗に頭を掻きまわした。
「研二くんはもうずっと千雪くん一筋やもん」
「な……に言うて……研二はそれこそ、二人目も生まれるんやで?」
千雪はかろうじて反論する。
「あほやな、やることやれば子供なんかいくらでもできるわ。うち、前にさりげのう、真由子さんに馴れ初めを聞いたことあるんや。そしたら、押しかけやて。研二くん優しいから、部屋に泊まったて真由子さんが両親に言うたら、絶対、責任取るて言うてくれるはずやて」
「おいおい、何やねそれ。ほんまか? まあ、研二ならありそうやけどな」
三田村は冷めたコーヒーをぐびりと飲んだ。
「大体、千雪くん、無神経やわ、さっき」
「はあ? 何がや」
「東京に店とか、千雪くんにはあの、べったりな父兄がおんのに、研二くん可哀そうやろ」
菊子も江美子にも京助のことは知れているとは思っていた。
やはり研二にも知れているということか。
千雪は忸怩たる思いに眉を寄せた。
これまで平気で京助と一緒に京都に行ったりしてたのに、研二もとっくに知っていたわけか。
知ってて何も言わんかったんか。
それはそれで寂しい気がしないでもなかった。
けど、そういうことやないのんか?
昔はそういう気持ちはお互いにあったとは思うけど、俺とどうこうやなんて研二は考えてへんかったんや。
「せえけどな、男同士とか、いつどうなるかなんてわかれへんで? あいつ、京助、縁談持ち込まれよったし。そういう年やからな。そのことで昨日、パーティのあとで、俺と京助が喧嘩してるの小夜ねぇに聞かれてもうて」
「ばれたんか? 当然反対されたやろ?」
三田村が言った。
「まあ、京助みたいなんでええのんか、とか、言われた。けどなんか、京助の兄貴がやってきて、当人同士が決めることやからとかって、小夜ねぇと喧嘩腰になってもうて。もう、俺そういうメンドイんが嫌やし、もう潮時やないか思て」
「お前もかよ」
三田村が吐き出すように言った。
「それやったら、うち、千雪くんと研二くんがモトサヤに収まるんが一番ええ思う」
菊子がきっぱりと言った。
「そんな、うまいこといくわけないやろ」
千雪は少しイラついた。
「あんなあ、研二は結婚してるんやで?」
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