「おそらく山下先輩は考えて、小倉らに鉄槌を下したところで、やけになって不祥事でも起こされたら大会にも出られへんようになる。そんでお前には悪いが、きつくあたって、お前にだけえらいことさせよって、他の連中と重ならんようにしよった、て話や」
「お前、何で今の今まで黙っとったんや! しかも研二、お前も知っとったみたいやな?!」
千雪は三田村を詰ると、研二にもくってかかる。
「それや。山下先輩、お前のちょっとつつくとすぐカッとなって突っ走るお前の性格も考えた上でのことやったんちゃうか? お前がもしそんな話耳にしたら、直に小倉ンとこ殴り込みに行っとったやろ?」
あまりに的を得た研二の言葉に、千雪も返す言葉がない。
「せえけど、腹立つ! 今からでもそいつぶん殴ってやろか! 小倉、どこ行ったて?」
研二の言葉には頷いたものの、怒りが収まらない千雪はブスっとしたままだ。
「小倉は、確か、R大出て、実家の不動産屋継いだんちゃうか?」
三田村が言った。
「フン、小倉のことなんかどうでもええが、山下先輩に会うたら、礼でも言うとけばええんちゃう?」
辻の言うことは道理だ。
「山下先輩て今、どうしてはるん?」
千雪は三田村に尋ねた。
「山下先輩はD大行かはって、大学でも関西ではかなり活躍しらはったみたいやで? もちろん、警察官にならはったて聞いた。今どこで階級が何かとかはわかれへんけど」
「そうなんや」
「研二もな、警察から勧誘あったよな」
三田村が研二に話をふった。
「まあ、大学卒業する時も向こうの警察から誘われたけどな」
研二は笑い、「残念ながら菓子職人になりますよってて、お断りしたし」と付け加えた。
「研二さんも柔道黒帯とか?」
今まで黙って聞いていた公一が口を挟む。
「五段やったな?」
三田村が代わりに答えた。
「俺かて段持ちやで」
不服そうに千雪が宣言した。
「わかっとるがな。京助さんもやっぱ段持ちですやろ?」
三田村は京助の顔を見た。
「まあな。ガキの頃からやってたからな」
「そういえば千雪は大学ではやってないんや?」
研二が思い出したように聞いた。
「うちの大学、ちょっとレベルがな。知り合いの道場へたまにお邪魔させてもろてる」
「ほんと体育会系なんすね、皆さん。そういや辻さんの校外ゾク部ってなんですか?」
公一が率直な質問を投げかけた。
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