「だからってなんでお前が来るんだ!」
怒鳴る京助はしかし、「何かここ、久しぶりね」と言う声に速水の後ろに目をやった。
「何で理香まで!」
「あら、ご挨拶ね。京助たちが温泉旅行っていうから、行きたくなっちゃったのよ。ほら、佐久間くんも」
ひょっこり理香の横から顔を出したのは佐久間だ。
「部屋なら仰山あるよって、大丈夫やて、理香さんが」
気になって玄関に出向いた千雪はさらにその後ろにいた人物に剣呑な視線を向けた。
「たまたま奈々子さんと出くわしたら、ご一緒したいって言うから」
京助は日向野奈々子の出現に、こめかみの血管が切れそうに頭に血が上る。
「何しに来たんだ、お前ら!」
四人を前に、京助は怒鳴りつけた。
「何しにって、温泉旅行に決まってるじゃない。ここの温泉かなりいいお湯なのよ」
京助の怒りなどそっちのけに理香は佐久間に説明している。
「はあ」
さすがに佐久間は京助の鬼の形相にちょっとたじたじとなっていた。
「おや、女性陣もご一緒なら、ええやないですか? せっかくここまで来はったんやし」
千雪についてきた三田村が京助にとりなした。
「部屋はたくさんあるんやったよね? 公一くん」
「まあ、ええ、そうっすけど」
公一は怒りまくる京助の顔色を窺った。
「フン、勝手に使えばいいが、いいか、ここはホテルとは違う。自分のことは自分でやれ。メシも誰もやってくれねえからな! わかったか!」
多少トーンダウンしたように見えたが、京助の怒りは静かに沸々と煮えたぎっていた。
「あら、このあたり美味しいレストランいっぱいあるから、全然平気よ!」
理香が軽くのたまった。
奈々子は何も言わなかったが、京助の鬼の形相から歓迎されてはいないことはいくら何でもわかったはずだ。
さらに奈々子の視線はすぐに京助の後ろにいた千雪に注がれた。
千雪は思わず彼女を見てしまったからだろう、彼女の強い視線に出くわして眉を顰めた。
またどうせ、オンナやとか思われよったに違いない。
「お、千雪、せっかくやからハイキング行こや」
歓迎せざる客人らには見向きもせず、辻がてくてくとやってきた。
「ハイキング? 温泉でまったりするんやなかったんか?」
「俺ら、体育会系やいうことを忘れたらあかんで」
研二までがニヤニヤと千雪を見下ろしている。
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