メリーゴーランド163

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「失礼いたします。お風呂のお掃除が終わりましたので、お手すきの際に、ご確認いただけますでしょうか」
「あ、少し待ってください」
 打ち合わせを終えてから、相良と一緒に風呂に行くと、大風呂も小さい方もきっちり掃除は終わっていた。
「ありがとうございます。あとは湯を張ってください。相良さん、部屋の方はほとんど使っていないんだが」
「お部屋の方は藤原様からそのように窺いましたし、お使いになっているお部屋の方はお申し付けがございましたらお掃除に入ります」
「わかりました。よろしく。あ、それで、うちの管理人が非常に厳しい人なので、出来る限り置いてあるものなどは何も動かさずにおいてほしいんです」
「畏まりました」
 全く、両親はどうでも、非常に大事にしているこの古い建物に与り知らないところでどこの誰ともわからないハウスキーパーが大勢入り込んだなどと、東京の藤原が知ったら火を噴きそうだ。
 京助が先ほど公一に確かめたところ、藤原には話していないというので、絶対話すなと念を押した。
 父親などよりよほど綾小路のことについては多くを知っている藤原にお伺いも立てずに壺を少し動かしただけでも目をむきそうだ。
 開かずの間のような部屋もあり、子供の頃は何とかして入ってみようなどと思って外から窓のガラスを割ったことがあるが、その時の藤原の怒りと言うより落胆が未だ持って京助の頭の中にこびりついている。
「おい、佐久間、ちょっと来い」
 リビングに戻ると、三人のセレブもどきどもに囲まれて窮屈そうに席を立とうにも立てずにいる佐久間を呼んだ。
「あ、はい!」
 ようやく抜け出せたとばかり、京助のところにやってきた佐久間は「許してください、何でもしますさかい」などと頭を下げる。
「買い出しに行くから荷物持ちについてこい」
「はい!」
 よほど居づらかったのか、佐久間は威勢よく返事をする。
「その前に、上へ行ってあと二人ほど、買い出しに付き合えって言ってこい。残りは風呂に入れるぞ」
「わかりました」
 佐久間は勢いよく階段を駆け上がった。
 千雪の部屋に集まっていた四人に、佐久間が京助の伝言を告げると、「ようし、じゃんけんほい!」と楽し気に始まった。
 三回目で二対二に別れ、三田村と辻が風呂、千雪と研二が買い物に行くことになった。
「買い出し、スーパーカメヤやろ?」
 階段をちんたら降りてきた千雪が京助に言った。
「そうだ。何で知ってる?」

 
 


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