「その荷物は何だ?」
「あたしも温泉、入るに決まってるじゃない」
アスカは幼い頃から京助らの父と大学の同期である祖父とともに綾小路に出入りしていたし、無論この別荘にも何度も来ている。
そこはわかっていて、藤原に了解を得たとあれば、京助も無下にはできない。
「たった二泊に何でそんな荷物がいるんだ?」
眉を寄せたまま京助は食材を運び終わった車を駐車場に停めるべくエンジンをかけた。
「ちょっと、京助、突っ立ってないで手伝ってよ!」
「速水が呼んだプロのハウスキーパー軍団がいるから、彼らに手伝ってもらえ」
京助はまた一つイラつきのもとを抱えることになって、非常に不機嫌だった。
車を停めて玄関ホールに戻ると、アスカは早速プロのハウスキーパー軍団の一人でおそらく一番若そうな青年を捕まえて、「車、駐車場に入れといてくださる?」と鍵を渡し、公一を見つけて、「部屋、どこが空いてるの」とばかり荷物を持たせて二階へと上がって行く。
リビングでおしゃべりをしていた理香と日向野、それに速水にはぞんざいに挨拶しただけだった。
公一に部屋に案内させると、アスカは「ねえ、何で日向野なんかいるのよ? 京助が呼んだの?」と聞いた。
「違いますよ、速水さんが理香さんと、日向野さんと佐久間さん連れていきなりやってきたんです。俺はオヤジから京助さんとご学友の四人が使うからって聞いてただけで、しかも当初は合宿みたいに、自分たちで何もかもやる予定だったんです」
「ああ、京助の得意なやつ? よく部活の連中連れてきて合宿してたわね」
「そんなようなもんすよ、京助さんを含めてみんな武道の有段者で、ああ、約一名は自己流みたいですけど、みんなでかいし強そうで」
「みんな?」
「ああ、一人を除いて?」
アスカに問い詰められていた公一だが、「すみません、食器についておたずねしたいんですが」というハウスキーパーの木本に呼ばれて階下に降りて行った。
「あ、一人分追加でお願いします。えと、食器は基本こちらのを使っていただいて結構です」
キッチンには千雪を始め、食材を運んできたでかくて強そうな研二と佐久間も一緒にいた。
「俺ら、何か手伝うことがあったら、言うて下さい」
千雪がシェフの志田に声をかけた。
「いえ、我々でやらせていただきますので、どうぞごゆっくりなさっていてください」
そこへ相良が入って来て千雪らに言った。
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