「それ、実はアスリートです、いうやつやろ?」
研二が言った。
「知らん。テレビの番組あんまり見いへんし」
「小説のネタにテレビもええんちゃうか?」
「わかった。これから見るようにする」
「ユキってば、研二のいうことは素直にきくんだ?」
そんな話をしながらコートに目をやると、秋山と京助が、何やら本気モードでプレーを始めていた。
「カッコいい! 秋山さん、アニメのテニスのプリンスみたい!」
アスカが両手を合わせて、立ち上がった。
「京助さんもやるやん」
三田村も腕組みをして二人のプレーをじっと見つめた。
「おお、まだやっとんの?」
散歩から帰ってきた辻がコートを覗いた。
「勝ったらドンペリ二本あげる!」
理香が声を大にして叫んだ。
「ええええ、そないなご褒美あったんなら、俺もやればよかった!」
「お前、テニスとかやれんのんか?」
研二が聞いた。
「やれば何とかなるもんや」
「二人ともテニス歴長そうやから、勝つんは難しいで」
京助の高い打点からのフォアが決まれば、秋山のコーナーギリギリをつくバックハンドが決まる。
「お、すっげ! ギリじゃん」
ジャッジをしている速水も「おいおい、ほんとのゲームみたいじゃないか」と変に感心している。
京助がフォーティラブから少しやり返したが、サーブがダブルフォルトとなり、結果秋山が理香からドンペリを二本手渡された。
「ありがとうございます。いずれにせよ、今夜皆さんで開けましょう」
秋山の大人な対応に、一気に場が沸いた。
テニスと聞いて、ランチにはシェフ特製のサンドイッチが振舞われたが、みんなが風呂から上がってくると、ちょうど三時を過ぎて小腹もすいてくる頃だ。
「タルトタタンとキッシュ、京助さんお手製です」
スタッフが紅茶やコーヒーと一緒にテーブルに並べた、焼きたてのリンゴの甘い匂いが食欲をそそる。
「すっげ、京助さんてほんま、何でもでけてすごいわ」
三田村がタルトタタンとキッシュの両方をガツガツと口に運ぶ。
「美味しい。これは脱帽」
理香もタルトタタンを口にして呟いた。
「悔しいけど美味しい」
アスカもブツブツ文句を言いながらも食べることに集中している。
「アスカさん、食べ過ぎないように」
すかさず隣に座った秋山からチェックが入る。
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