今夜も千雪は周りの視線をシャットアウトしていたし、菊子と三田村の話に夢中になっていたので気にもしなかったのだが、必ず見られているのはわかっていた。
実際、芸能人とかモデルとかそんな風に言われているのを聞いたこともあるし、あまりそういった人間が出没しがちな繁華街などは歩いたりしないのだが、たまに芸能事務所の人間に掴まったりすることがある。
最近、そういう輩に呼び止められた時は、青山プロダクションの名前を格好の言い逃れに使っている。
その名前を出すと大抵、引っこんでくれる。
よほど工藤の名前は業界に良くも悪くも轟いているらしい。
そう言えばまた近日中にそのオフィスにも顔を出さなければならない。
映画「花のふる日は」は来春公開予定だが、そろそろプロモーションが大々的に行われるようになるらしい。
それに合わせての原作者のインタビューがいくつかの雑誌社とテレビ局から依頼されているという。
テレビはゴメンだときっぱり断ったのだが、工藤に録画ならいいだろうと言われ、結局主役の志村嘉人との対談という形式で、オフィス内で撮ることになった。
いろんなことがあちこちで起きていて、思いもよらぬ方へと進んでいく。
研二、どないするつもりやろ。
どないなるんやろ。
江美ちゃんもいろいろ心配やろな。
菊ちゃんが言うように、江美ちゃんは強いけどな。
俺なんかよりずっと………。
「千雪、寝るなよ」
京助の声に千雪ははっと目を覚ました。
それで結局のところまたなし崩し的に千雪は京助に引き込まれて身体を繋げていた。
嫌いではないから、どちらかというと好きだから、拒み切る理由もないから。
京助の指や唇に容易く操られ、追い上げられて、何度もいかされる。
濡れた声で京助の名を呼ぶ。
こんな俺が、研二とどないなるいうねん……。
今さらや………。
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