千雪が研究室の誰かと飲みに行くことさえ珍しいのに、という顔で相原は千雪に視線を移す。
「ええ、千雪先輩の同級生やら京助先輩と。ほんま、ええお湯やった。なあ、千雪先輩」
ぺらぺらと佐久間が説明するのを見て、千雪はムッとしたような顔でパソコンを立ち上げる。
クソ能天気なヤツや。
後から速水さんらなんかと押し掛けたくせに。
考えてみたらほんまに速水さんら、何しに来よったんや。
大体、あんな日向野奈々子とか連れよって、京助にけしかければおもろいくらいなとこやろけど。
みんなでハイキングとか行った時は、ほんまに子供に帰ったみたいでよかったんやけどな。
わかってるわ、過去のこと怒ったかて何にもなれへん。
確かに辻の言う通り、研二に連絡とった方がええんやろけど。
だいたい何やねん、拗ねるとか!
そんな単純なもんやないわ!
俺の中ではな。
天気がいいので昼は京助が作ったサンドイッチを携えて、学食に向かう。
コーヒーを買ってテラス席に近づくと、速水と京助が既に陣取っていた。
千雪は二人を避けて端のテーブルに座った。
「おい、名探偵にえらく避けられたぞ。お前、何やったんだ?」
速水の声が聞こえた。
フン、その声の主が嫌やから避けたんや。
「あ、せんぱーーーい!」
お前まで何で来るんや!
佐久間がコンビニの袋を振り回しながらやってきて、千雪の向かいにでんと座った。
「今日は弁当、コンビニで買うてきましてん」
余計な説明付きで佐久間は弁当を取り出し、蓋を開けた。
特大カツ弁当のようで、千雪は見るだけでげんなりする。
京助が作ったカツ弁当なら美味そうに見えるのに、コンビニのは即味が想像できてしまうからだろう。
ガツガツと弁当を平らげる佐久間から目をそらし、千雪は手元のサンドイッチに集中した。
食べ終わると、無造作に携帯をポケットから取り出し、何とはなしに眺めた。
俺から連絡せなあかんわけか?
まあ、俺が一人勝手に怒っとる思うてんやろうけど。
そんでも、たまにはお前からかけてくれたかてええんちゃう?
辻も俺に、連絡しろ言うとった。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
