つまり、このまま俺から連絡せえへんかったら、フェイドアウトいうことか。
せやな。
お前にとっては大昔のことで、今さらやもんな。
「あ、いたあ、京助さーん!」
その時、近づいてきたのは、先日千雪と佐久間に京助のことを聞いてきたミスT大だった。
今日も知的かつ可愛さを融合させたコーディネイト、可愛いナチュラルメイクできっちりチャーミングさを強調している。
ただ今日は一人ではなく、後ろに一人女子学生がいるが、こちらはベージュのセーターにスカート、ローファー、ボブに眼鏡というあまりファッション誌は読まなそうな雰囲気の女子で、伊藤の華やかさとは対照的に見える。
「今度の追い出しコンパのことなんだけどお」
馴れ馴れしさも可愛いと思われると信じている言い方で、伊藤は京助に話しかけている。
「彼女ともう一人木村さんていうんやけど、二人、大学の空手部のマネジャーやってたんや。まあ、それも京助先輩に近づくためや、なんて陰口叩く他の女子もおったけど」
「へえ。あの子ら仲ええん?」
「まあ、よく一緒にいるとこ見かけますわ。専攻も同じらしゅうて」
「ふーん。完全に木村さん、伊藤の引き立て役にされとるな」
「ええ?」
佐久間は二人を振り返る。
「俺と京助がええ例やろ。京助の隣に俺がおってみ、京助が一段とええ男に見えるやろ?」
千雪は鼻で笑う。
「千雪先輩、ほんま、それ、人が悪いわ」
佐久間はちょっと目を眇めて千雪を見咎める。
「やから俺は清廉潔白な人間やない言うたやろ」
千雪は何気なくボブヘアに眼鏡の木村を見た。
にしても俺やあるまいし、やけに眼鏡、ごついな。
まさか俺と同類とかやないやろな?
と、その木村と目が合ったので、千雪はさり気にそらす。
その時、手の中の携帯が鳴った。
画面に浮かんだ名前は研二だ。
「あ…研二……なんや?」
「忙しいやろけど、ちょっと………会わんか?」
千雪は一瞬、躊躇いつつ、言葉を選んだ。
「え………ああ、うん、ええよ。いつ?」
「お前の都合のええ時で。俺は、今日でも明日で明後日でも、大丈夫や。店の方、ほぼ出来上がったし」
「そうか、そら、よかった。えと、俺も、今日、明日なら」
「ほな、今日会わへん?」
研二からそんな風に言ってくるとは、千雪は思っていなかった。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます
