メリーゴーランド219

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「熱燗、飲んで、知らんうちに寝てもうて。研二、店で茶懐石膳もやるらしいねん」
「……ほう?」
「自分の店持つやなんて、やっぱ大変やろな。芝さんの後押しがある言うても」
「それだけやりがいもあるだろう」
 京助がガツガツと定食を食べるうち、千雪はうどんを食べ終えて茶を飲んだ。
「まあ、それはそうやけどな」
「お前、結婚式、ちゃんと行けるのか?」
 京助はするりと話題を変えた。
「ああ、来週末やろ? まあ、何とか」
「全く、綱俊おじとかまで来るとか、関係ないだろうが」
 京助は渋い顔をした。
「ああ、お前の嫌うとる、昔ぶん殴ったいう人か?」
「オヤジの従弟で東洋商事の社長だ。心臓に病気抱えてるらしいのに。そのワイフと息子で三人、京都の叔父一家が従妹が皆行くとかで五人だぞ? 美術館の九条叔父夫婦にうちが大まで入れて五人、原はお前入れて三人、全然簡素にならねえだろうが」
 文句をぶちまける京助に、「まあ、紫紀さんは綾小路の中心人物やからしゃあないんちゃう?」と千雪が言った。
 佐久間は二人の話がプライベートな内容になったので、「お先に」と席を立った。
「日本からはな。パリでは何人か兄貴や小夜子さんの知人が列席するらしい」
「小夜ねえ、パリに友達多いみたいやしな」
「とにかく、親戚連中は物見遊山目当てで兄貴と小夜子さん共々週明け早々パリに行くらしいが」
「俺らだけ? 前日に着く便に乗るんは」
「いや、綱俊おじの息子で東洋総合病院の長樹が一緒。婚約パーティで一度会ったろう」
 東洋総合病院は東洋グループ系列で五百床の大きな病院だ。
 綱俊はその理事長も兼ねている。
 その息子の長樹は確かに紫紀から紹介された気がするが、病院に呼ばれて忙しなく帰って行った。
 ガタイの大きさは綾小路の血筋なのか、上背のある髭面の男だったのを千雪も思い出した。
「外科医やったっけ?」
「かなり優秀らしい。あんまり交流はないが」
「ふーん」
 千雪はちょっと聞いたもののさほど興味もなさそうに相槌を打つ。
「帰りも俺はトンボ帰りだが、お前、パリ見物するとか言ってたろう」
「無理や。俺もトンボ返りでええ」
「じゃあ、帰りも長樹と一緒か」
 京助はあまり歓迎しないようすだ。

 


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