研二の店のオープニングはかなりな人が集まっていた。
店舗は黒と茶で統一され、内装はシャープでスタイリッシュに仕上がっていた。
研二は少し硬い表情をしていたが、長身に白いシャツ、黒のベストとタブリエで同じ制服のスタッフを従え、ひと際重厚な雰囲気を放っていた。
スタッフは男女ともに姿勢がよく、歩き方がモデルのようだと誰かが口にした。
「芝さんの持ってる劇団の人とかだっけ? 鍛えられてるって感じ」
芝の挨拶の合間に、三田村がこそっと言う。
「モデルさんもいるみたいやで? しゃきっとしとるわけや」
芝ビル四階フロアでは他の店舗は閉まっているが明るさは落としてあるが柔らかい灯りでフロアの雰囲気も見て取れるようになっている。
研二が短い挨拶をすると、あちこちでシャッターが切られた。
やがて芝のしきりでパーティ会場へと各々向かった。
エスカレーターを使うと、他のフロアも雰囲気がわかる。
ガラス張りのエレベーターからは、街のようすも眼下に見えて、華やかに芝ビルの誕生を歓迎しているかのようだ。
最上階のイベントフロアーには、最初スタッフによる菓子を手作りするパフォーマンスもあり、既に並べられた菓子のひとつひとつが繊細な芸術作品のようで、参加した面々からは感嘆の声があちこちで上がっていた。
菓子は向かい側に用意された料理ともども招待客が菓子も試食できることになっていた。
「盛況だな」
いつの間にかやってきた京助が、千雪に声をかけた。
「間に合ったんや」
千雪は落ち着いたスーツに身を包んだ京助を見上げて笑った。
三田村はやたら携帯で写真を撮り、千雪と辻が料理を食べているところや、研二の菓子、それに研二の颯爽とした出で立ちを撮ると、すぐにラインで京都の菊子に送った。
『あーん、うちも行きたかった!』
自撮りした芸妓姿がすぐに三田村の携帯に戻ってくる。
「お、インタビュー、始まったで」
やがて各新聞社、雑誌社に在京のキー局の記者も混じっている。
研二は請われるまま芝とだけでなく、駆け付けた綾小路紫紀、小夜子とも並んで画像に収まった。
「綾小路さんや小夜子さんが顔を出してくれただけで、ええ宣伝になるで」
三田村が言った。
大方のインタビューが済んだ頃、千雪、京助、三田村、辻の四人は、雑誌編集者である理沙子に声をかけられた。
「黒岩研二さんとは高校の同級生とお聞きしましたが、少しお話よろしいでしょうか」
理沙子は華やかなパーティドレスとは裏腹に真面目な顔で聞いた。
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