今夜は研二も誘って三田村と三人、飲みにでも行こうかと言っていたのだが、どうやら研二は無理なようだ。
そんなことを考えながら、千雪はガツガツとあんみつを食べていたのだが、思い切りアイスクリームを呑み込んだ途端、頭痛が走り目を閉じる。
「なんや、千雪、どないした?」
上から降ってきた心配そうな声に、千雪は目を開けた。
「思い切りアイスがっついてもて、頭痛」
「なんやそんなことかいな」
バカにした顔で、三田村はコートを脱いで向かいに座った。
まもなく先ほどの女性スタッフが現れたので、三田村はあんみつとコーヒーを頼んだ。
「なあ、あれ」
千雪が目でガラスの向こうを指し示す。
「なんや」
三田村も何気にそっちに目をやって、「え………あれ、真由子さん?」と口にした。
「やっぱそやろ」
「何、より戻したとか?」
「俺に聞くな。けど、さっき外におる真由子さんとこに研二、慌てて出てきた気ぃする」
ここで話した時もそんな素振りはなかったような。
千雪はさっきの研二の顔を思い浮かべた。
いや、俺がわからんかっただけで、機嫌がええ感じやったしな。
真由子さんがこっちに来るからやったんかな。
「フーン。どないなってんやろな」
結局そうなのだ。
研二とは、昔に戻ったような気がしとったのにな………。
フン、束の間やったな、と千雪は苦笑いする。
角の三人連れが席を立って、間もなくして、研二が真由子を促してベビーカーを押しながら店内に入ってくると、空いた角の席に座らせた。
研二に声をかけようとしたが、研二は千雪の方を見ようともせず、難しい顔をして厨房の方へ戻っていく。
やがて三田村にあんみつが、千雪にはコーヒーが運ばれた。
「もっと味おうて食べたらよかった。一気にいってしもて」
スタッフが去ると、千雪はそんなことを言ってコーヒーを口にした。
「アホか」
そう言いながら三田村は真由子が気になるらしく、ちょっと振り返って角のテーブルの方を見た。
「今日は研二、飲みはムリそうやな。せや、電話した時は真由子さんのこととか言うてなかったから、彼女、急に出てきたんちゃう?」
三田村が言った。
「そうなん?」
「やと思うわ」
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