京助が千雪の美貌に執着しているだけのような男であれば、研二も言葉通り容赦しないつもりだった。
だが、京助を知るにつけ、竹を割ったような性格といい、江美子の葬儀の時にも、しゃしゃり出ることもなく同級生たちの後ろにいて見守っていた、面倒見のいい先輩といった振る舞いといい、突っ込みどころがなかった。
むしろ千雪が京助を選ぶのであれば、自分の出る幕などないだろうと研二には思われた。
ただし、女の噂が絶えないというのは研二も気になるところだが、あれだけの男なら言い寄られることの方が多いだろう。
最近目にしたのは、スポーツ紙に載ったゴシップ記事だ。
何やら名の知れた女と朝ホテルから出てきたところを撮られたようだが、千雪がそのことがあって別れたというのならまだわかるのだが、その記事を見たのは千雪が研二のところに来て何日も経ってからだ。
何にせよ、何か京助から言って来てもよさそうなものだ。
いや、千雪の書けなくなったという、精神的なものだろうやはりそれを心配して、今は見守っているというところなのかもしれない。
千雪が居たいところにいるのが一番いいだろうと。
そこのところは研二も触れないでおこうと思っていた。
しかし、今の千雪にとって江美子のことがあるのは確かだろうが、果たしてそれだけだろうか?
数キロの渋滞にかかったところで、研二は渋い表情で前を走るベンツのブレーキランプを睨み付けた。
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