昨夜、ヨーロッパにいる桐島とビデオ通話した時に千雪の話になり、桐島に、研二くんにまかせっきりじゃなくて、ちゃんと千雪くんのことどんな様子か聞かないとダメよ、と念を押された。
それで研二に確認したら、このテイタラクだ。
アパートに行ってみてもいいが、京助のところにいるという可能性もある。
京助に連絡を取るのはちょっと二の足を踏む。
「あ、速水さん、あの人に聞いてみるか」
先日わざわざ会社までやってきて、千雪のことを聞いて行った速水が携帯番号を聞いたので交換したのだ。
速水はすぐにつかまった。
「ええ、千雪は京助さんのとこに帰ったて、研二が」
三田村がそういうと、速水は、おかしいな、と言う。
「さっき会ったが、京助のヤツ、飲んだくれてたところへ解剖に呼び出されたとか言ってたぞ?」
「飲んだくれてた?」
千雪が戻ったというのに?
「ほな、アパートにおるんかな」
三田村は俄かに胸騒ぎを覚えた。
会社に戻ろうと思ったが、踵を返して千雪のアパートへと向かった。
「あ、佐野さん? すみません、AI企画さんに寄ってから戻ります。時間はまた連絡します」
明日行く予定だった営業先に千雪のアパートに寄ってから回ることにして、三田村は地下鉄に乗った。
何となく気が急いて、足取りが早くなる。
千雪のアパートに着くと、チャイムを押してみたが返事がない。
ノックをしてみても静まり返っている。
三田村は家電を鳴らしてみたが、すぐに留守電に切り替わる。
「いる気配、ないよな………まさか中で………」
考えすぎだとは思うが心配は段々大きくなる。
京助なら合鍵を持っているだろう。
「やはり京助さんに連絡するしかないか」
三田村は意を決して京助を呼びだした。
「何だ」
京助とは原夏緒の展覧会の件で何度かやり取りをしたし、軽井沢でも世話にはなったのだが、三田村は今回千雪のことで京助と話すのはあまり気が進まなかった。
だが、今はそんなことは言っていられない。
「千雪、京助さんとこに戻ったんですよね?」
「ああ? どういうことだ? 研二のところにいるんだろう?」
それを聞いた三田村は、やはり何かおかしいと焦燥感が拭えない。
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