ガードマンのジョージに千雪が来なかったかを聞いたが、彼のシフトのうちには見なかったという。
ジョージは慌ててエレベーターに駆け込む京助と三田村に小首を傾げた。
「千雪! おい、千雪、いるのか?」
京助は二階へと上がって行き、寝室を開けたが誰もいるようすはない。
「俺も大学に缶詰めでいなかったからと思ったんだが」
京助は呟くように言った。
千雪がこの部屋に勝手に入ることはたまにしかないが、その可能性もやはり消えた。
三田村は千雪の携帯を再度呼び出すが、やはり電源が入っていない。
「いったいどこへ」
京助も三田村もしばし途方に暮れたように突っ立っていた。
と、三田村の携帯が鳴った。
「おう、どや? 千雪、いたか?」
研二からだ。
「部屋の鍵は返して来よったし、万が一思うて部屋きてみたけど、いてへん」
鍵を持っていないのなら、あり得ないことだろうが、研二はそんなことを言った。
「菊ちゃんにも言うて、隣の江美子のうちから千雪のうち覗いてみてもろたけど、カーテン閉まっとるし、誰もおるようすはないて」
「あのやろう、いったい、どこ行ったんだ?」
京助が憤りが混じった声で喚いた。
「部屋で寝込んでるいうのんはなかったけど、ほんまにどこ行ったんや?」
三田村もイラついた声を出した。
京助はそういえばという心当たりを思い出し、携帯をプッシュした。
「あんた、また千雪をどこかに隠してないだろうな?」
いきなり文句を言われた相手は鼻で笑った。
「何だ、また千雪にフラれたのか?」
青山プロダクションの工藤である。
以前、京助が千雪と喧嘩をして、工藤が自分の別荘に千雪を連れて行ったことがあった。
「真面目な話、千雪が雲隠れした。研二のところにしばらくいたんだが、そこを出てからの消息が皆目わからない」
京助は簡潔に言った。
「あいにく、こっちにはしばらく顔を出してない。京都にもいないのか?」
「いない」
「まあ、いい大人だし、フラッとどっか旅でもでたんじゃないのか?」
「それならいいが、あのやろう、誰にも何も言わずに消えやがって」
「まあ、書けないとか言ってたし、いろいろ精神的に不安定だったんだろ」
それを聞くと京助は何もできない自分に苛立ち、忸怩たる思いに駆られる。
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