しかもそれを聞いた研二は、京助のところへ戻れとか言いよって!
もうわけわからへん。
頭がついて行かへん。
俺にどないせい、言うんや!
ほんまは、ほんで二人から逃げ出したんや。
それやのに、何やね! ちょっと所在わかれへんくらいで飛んできよって。
風呂に浸かりながら、千雪はとりとめもなく、いろんなことを考えていた。
俺なんか、そんな後生大事に思うてくれる程、たいそうな人間やないのに。
ばしゃっと顔を洗い、千雪は大きく溜息をついた。
翌朝は髭を剃った京助と研二はこざっぱりと多少の面目躍如というところで、朝食のためにレストランに赴いたところ、千雪がやってきたので、おのずと一緒のテーブルに着くことになった。
「ああ、よく寝た、夕べは。二日寝てなかったからな」
シャワーだけ浴びた京助は、そのままベッドにもぐりこんで朝まで起きなかった。
「俺も久々よう寝ましたわ」
嫌味な言い方や。
千雪はフンとすました顔で味噌汁をすする。
朝食は洋食か和食は選べるようになっていたが、三人とも和食にしたのだ。
鮭と卵焼き、ハムとほうれん草、山芋とワカメなどのサラダ、それにフルーツヨーグルトにご飯とみそ汁としっかりした食事だ。
食後にコーヒーが出て、それぞれ一息ついた。
「それで? 今日はどこに行くって?」
京助が千雪似聞いた。
「酒田とか鶴岡とか」
ボソリと千雪は答える。
「今日はええ天気みたいやし、気いつけてな」
研二が言った。
「なるべくあちこち回りたいよって、もう、このまま行くわ」
千雪が立ち上がった。
「俺らも温泉でも浸かりたいとこだが、仕事が待ってるからな。秋田発十一時半でいいか?」
京助が研二に尋ねた。
「ええ、それやったら午後から店に出られます」
やからほんまに、店や仕事ほっぽって、わざわざこないなとこまで。
千雪は二人の会話を聞いてまた心の中でブツブツ呟いた。
「ほな、そちらさんも気いつけて」
レストランを出て行く千雪の背中を心配そうな顔で見ていた研二に、「フン、そう心配したことはないさ」と京助が言った。
「はあ、けど、一人で車ですやろ」
「バイクでウロウロするよりはマシだろ。さっきちょっと見たが、最新のアクティブセーフティとかで、事故らないようになってる。なかなかいい車だ。しかもダークレッドで見つけやすい」
「へえ」
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