メリーゴーランド33

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 だが、京助に言わせると、あいつこそエピキュリアンだぜ、なのだ。
「あっという間に時間が経ってしまって、こないだはお食事に誘っていただいたくらいよ。ただ、その時に、試しに付き合ってみませんかって」
「え、そんなんで、いいん? それで付き合うことにしたん?」
「いいんじゃない? たまにお食事してお話しするくらいよ? それに初対面から喧嘩腰になっちゃったから、取り付くろう必要もなくて、何だか楽なのよ、彼」
 その時、ふっと千雪の中にある予感があった。
「けど、紫紀さんって、なんか、軽くいろんな人と付き合う人らしいで?」
「それもご本人からお聞きしたわ。お試し中はとりあえずお互いだけにしようってことになったのよ。それにね、私も紫紀さんもバツイチ同士だし」
 はあ、と千雪は大きくため息を吐いた。
 考えればメチャ、ゴージャスなカップルではないか。
「まあ、小夜ねぇがええんなら、俺が何言うんもないけど」
「それより、千雪ちゃんはどうなの? 京助さんとずっとお付き合いしていくの?」
 小夜子は昔から差別的なことが嫌いで、猛とはそのあたりで意気投合したと言っていた。
 ジェンダー差別はもとより、フランスに留学してから同性同士のカップルの友人も何人かいるので、千雪と京助に偏見を持つようなことがないという気はしていた。
「私は千雪ちゃんの方が心配だわ。京助さんて、よく言えばおモテになるというか、女たらしとかいう噂が絶えないでしょう? マスコミにも色々言われてて」
「まあ、マスコミのでっちあげらしい、本人曰くやけどな。ってか京助だけやないで? 紫紀さんかて」
「そうね、とりあえず外野は放っておきましょう。でも、千雪ちゃんもよく考えてね」
 そう言って微笑んだ小夜子は、妙に大人な気がした。
 よく考えて、か。
 考えてるんやけどな。
 考えても答えがでない。
 堂々巡りを繰り返している。
 好きだと思うこともある。
 ただ、京助の作る食事に慣れ過ぎて、京助がいない時、味気ないコンビニの弁当がまずくて食べられないとか、それでは京助がいないと死んでしまう、とか。
 京助がものも言わずに千雪を抱く時とか。
 女だと周りが騒ぐから、京助は千雪で手っ取り早くストレスを発散させているだけで、千雪は千雪で京助の食事が必要なだけで、お互い利害だけで成り立っている関係のような気がしないでもない。
「京助さんと、そもそもの馴れ初めって何やの?」
 三田村が聞いたことがあった。
 二人で酒飲んで寝てもうた時、京助が一線を越えよった。
 千雪は言ったが、そのくらいしか思いつかない。
 あとは成り行きで、ここまで来てしまった。

 


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