「大ちゃんはどうするの?」
涼が聞いた。
「大次第だよな。留学してみたいと思えばパリに来てもよし、中学からアメリカに行くのもよし。ただ、麗子さんや今の旦那にも懐いているからな、ほんと大次第」
紫紀の息子の大は四年生になるが、身体も大きいししっかりして大人びている。
奈良に住む紫紀と離婚した母親麗子にはたまに会っているが、祖父母や公一、藤原や家事を取り締まるせつや若いお手伝い洋子らに囲まれてのびのびと育っているようだ。
涼は留学中だったので、いなかったものの、大のことも双方の両親とともに話し合われたことで、京助も千雪も散々聞かされた。
「京助にいも千雪さんも死んでるね」
涼が苦笑しながら疲れ切った二人を見た。
「お前が優雅に留学なんかしている間に、俺らはとばっちりで、散々あらゆる話に駆り出されたんだ」
京助は一人能天気に笑う涼を睨み付ける。
「でも、ほんと、わからないもんだよね、紫紀にいと千雪さんのお姉さんが結婚とかってさ、もう、京にいと千雪含めて、みんな家族ってことじゃん?」
「お前はどうしてそう能天気でいられるんだ。俺らのことは関係ないだろう」
すると涼はあれ、と言った。
「ひょっとして京にい、まだ千雪さんのこと話してないの? 二人の方が歴史が長いじゃん」
千雪も、思わず何でそう能天気に笑えるんだと涼を見た。
「話したくてもこいつが嫌だとぬかすから」
「俺らは別に結婚するとかやないんやで? 話す必要もないやろ」
眉間にしわを寄せる千雪に、京助がその不機嫌さ加減がマックスなのを感じ取る。
「まあ、それじゃ、もうひと踏ん張りしますか」
紫紀は立ち上がると、小夜子に手を差し伸べて立ち上がるのをさり気にサポートする。
「俺らは………」
バックレるといおうとした京助に、「お前らもあとひと踏ん張りだろ」と紫紀が先に釘を刺す。
「肝心の結婚式はいつどうすんの?」
廊下を歩きながら涼が紫紀や小夜子に尋ねた。
「まあ、大体、秋? くらいしかまだ決まっていない」
「だから、パリで家族だけで式を挙げて、披露宴はまたいつでも考えたらいいでしょ」
こないだからの話し合いでもまだ決まらなかったのがこれだ。
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