自分で答えを出さなくては。
陽射しがまだ温かいうちに、家中の窓を開けて空気を入れ替え、母のアトリエに入ってスケッチブックを開いてみたり、父の書斎に入って蔵書を引っ張り出してみたりして過ごした。
三時を過ぎた頃倉永がやってきたので、土産を渡し、お陰でいつも使っているように過ごせることに礼を言った。
お茶を入れて、しばらくぶりにいろいろと話をしたが、江美子のことに触れると、倉永も涙目になった。
夕方になる前に倉永は帰って行った。
さすがに夕方になると寒いのを思い出し、自分の部屋に行ってエアコンを入れ、本などを整理したりした。
コンビニで弁当とビールを買って来て夕食にし、風呂に湯を張ってゆっくりと浸かる。
一人きりになってしまった我が家なのだが、何だかそうやって過ごしていると、父や母や愛犬がいた頃の空気を感じたりして、不思議と全く一人だという気がしなかった。
暖冬が続いているとはいえ、師走ともなれば朝晩はぐんと冷え込む。
寒とした冬の空気に、次第に千雪の頭の中もクリアになって行くように思えた。
家の電話が鳴ったのは、翌朝、コーヒーを入れてから、コンビニでサンドイッチか何かを買ってきてブランチにするか、などと考えていた時だった。
携帯の電源は時折入れるようにしているが、ともすると忘れがちになっていて、今も電源が切れていた。
「千雪か? すぐに帰ってこい!」
菊子が何か用があって電話をしてきたのかと受話器を取った千雪は、その声が三田村とすぐわかって、しかもひどく緊張しているのが伝わってきた。
「何かあったん?」
「京助さんが、今朝、事故って病院担ぎ込まれた。もらい事故やて」
三田村の声がひどく遠くから聞こえてくるような気がした。
「病院、どこや?!」
「第一虎ノ門病院」
千雪はすぐに電話を切ると、かろうじてコートを掴み、リュックを肩に引っ掛け、財布と携帯をポケットに突っ込みながら家を飛び出した。
車で行くよりタクシーの方がいくらか早いだろうと、通りまで走ってタクシーを拾い、京都駅へと向かう。
新幹線が動き出し、開いている席に腰を降ろした千雪だが、家に鍵をかけたかどうかも覚えていない。
病院に担ぎ込まれたと聞いただけで飛び出してきたが、実際容態はどうなんだ?
手術とか? まさか………。
千雪は手の震えを抑えることができなかった。
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