メリーゴーランド343

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「打撲はありますが骨折などはないようです。脳震盪と思われますが、まだ意識が戻らないようです」
 紫紀と小夜子は看護師に付き添われて京助のベッドに案内された。
 あちこち包帯を巻かれているようだが、普通に眠っているようでもあった。
 無事で命に別状はないとはいえ、京助の意識が戻らないことに不安を残しつつ、二人はすぐに待合室に戻ってきたが、紫紀はそこで初めて見慣れない二人の女の子に気づいた。
「失礼ですがあなた方ですね、救急車をすぐに呼んでいただいて助かりました」
「いえ、私が……」
「長い間こんなところに足止めして申し訳ありません。いずれあらためてお礼はいたします」
 何か言おうとした伊藤の言葉を遮って紫紀はきっぱりと言った。
「藤原、お嬢様方をタクシー乗り場までお送りして」
 有無を言わせぬ物言いで紫紀は藤原に言うと、「身内以外誰も入れないように頼む」と付け加えた。
「もう、ちっともつながらないわ!」
そう喚く小夜子に紫紀は向き直った。
「ったく、千雪くんはどこにいるんだ!」
 小夜子のイライラが伝線したように、紫紀が珍しく声を上げた。
 藤原に促されて待合室を出て行こうとした木村は、その言葉に気づいて傍に立っていた佐久間の腕を引いた。
「なんやて?!」
 佐久間は木村に耳打ちされて思わず叫んだ。
「千雪先輩、さっき立ち寄らはったらしいんです。ほんで、容態聞いてまた出て行ってしもたて!」
「何で?!」
 みんながドア口の木村と伊藤を見た。
「それが、伊藤さんが私がいるから帰ってええて言うたらしゅうて」
「冗談だろ?」
 紫紀がイライラと頭を掻いた。
「また余計なことを!」
 三田村は思わず口にして、携帯を手に千雪を呼び出したが、電源は相変わらず入っていない。
 藤原はそんな様子を尻目に木村と伊藤を外に出して待合室のドアを閉めた。
「あ、菊ちゃん? まさかとは思うけど、千雪、家におらんやろ?」
 ラインではもどかしくて、三田村は電話で菊子を呼び出した。
「は? せやから、え?」
 三田村がかいつまんで訳を話すと、菊子はすぐに千雪の家まで行ったようだ。
「千雪くん、いはるん?」
 玄関は開いていた。


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