メリーゴーランド344

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「いはらんわ! 考えてもみ! いくら何でもこの時間に京都に戻るんは無理やろ」
 菊子の怒鳴り声に三田村は思わず携帯を離した。
「どないなってん?! ほんまにもう!」
 喚いている菊子の声を聞きながら携帯を切った三田村は、「どないなってんて言いたいんはこっちや!」と喚く。
 何だか負の連鎖が続いているような気がして、三田村はふうとため息をついた。
「俺、ちょっとアパートまで行ってみますわ」
 三田村は紫紀や小夜子にそう声をかけて病院を出て行った。

  

 最初は交通事故の報道としてローカルのニュースで取り上げられただけだったのが、事故にあったのがフェラーリで主に後部がぐちゃっと潰れたその車の持ち主が名前が知れた綾小路京助とどこかしらから洩れたらしく、マスコミは一斉に騒ぎ始めた。
「あちゃあ、SNSでもめちゃ拡散してるわ」
 綾小路家と聞いて病院側が用意した特別室で、紫紀と小夜子は対応に追われ、付き添いを申し出て京助についていた佐久間は思わず口にした。
「……何がだ……」
 眠っている京助以外誰もいないはずの病室で声がして、佐久間は立ち上がった。
「先輩! 気ぃついた?!」
「……ん!」
 いきなり起き上がろうとして、京助は痛みに顔を顰めた。
「ちょ、ムリしないでくださいよ! 先輩! 怪我してはるんやから」
 佐久間は慌てて京助の傍に寄った。
 京助は頭に手をやって包帯に気づいた。
「あんの! クソトラック!」
 京助は喚いた。
「覚えてはるん? 事故のこと」
「くっそ!」
 京助はまた吠えるように言った。
「車はオシャカだな」
「あ、はあ、まあ。でも先輩に落ち度はあれへんし」
 佐久間は首を捻って、言いにくそうに頷いた。
「気がついたか」
 ドアが開いて紫紀が入るなり京助に歩み寄った。
「京助さん、起き上って大丈夫なの?」
 続いて入ってきた小夜子が心配そうに聞いた。
「……ああ。ここんところくに寝てなかったから、ぐっすり寝ちまった」
「そのようすじゃ、問題なさそうだな」
 腕をぐりっと回して、「…てっ!」と喚く京助を、「バカ、やめろ。骨折はないが身体じゅう打撲だらけだ」と紫紀が窘める。

 


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