「そうそう、向こうに立つ前に、年明けに一度、またお食事会をって言われてるのよ」
誰から言われているのかは聞かなくてもわかるが、千雪は出来れば辞退したかった。
「涼さんも帰ってくるみたいだし、千雪ちゃんも、いいでしょ?」
確かに原家は小夜子の母方の親戚とは、もともと後妻の娘である伯母が原に嫁いでからは、伯母の父の葬儀に顔を出して以来、従兄の結婚の際も何の知らせもなく、後で聞いて祝いを贈ったくらいで、疎遠になっていた。
ところが小夜子と紫紀の婚約の話題がマスコミに流れた頃に急に高木家の方から祝いと称して急に連絡があった。
小夜子も原の伯父伯母ともに高木家に招待状を出すつもりはなく、そのことに怒ったらしい伯母の年の離れた兄から怒って電話が入ったというが、原の伯父は今さらだと取り合わなかった。
まあ、千雪の両親についても祖父は許さなかったらしいと千雪も聞いている。
「ほんまに結婚とか家同士とか、そういうメンドイのは俺、苦手やから」
「あたしだって嫌な親戚なんかつき合いたくもないわよ」
つまり、原家からは伯父伯母と小夜子だけなので、一番近い親戚といえば千雪しかいないのだと、小夜子は言うのだ。
「正月は京都行くし」
そんなことはつい今しがたまで決めていなかったのだが。
「だって、向こうはご家族六人だけじゃなくて、藤原さんと公一さん、せつさん、かおりさん、洋子ちゃん、全部で十一人よ? 全然負けてるじゃない」
千雪ははあ、とため息をつく。
「やから、数で勝負とかやないやろ。第一、俺一人増えたかて、十一対四でボロ負けやん」
「三人と四人じゃ全然違うわよ」
前にも似たような言い合いをして、小夜子に押し切られた。
だが、今度は前回とは違う問題がある。
「オヤジには言った」
千雪と付き合っていると言ったというのだ。
京助のアホが!
ただでさえ、あんましええ印象やなかったみたいやのに。
結婚式の前の食事会で、京助の父親にはよく思われていなかったことを千雪は懸念していた。
これでカンペキ、俺、要排除分子になってしもたんやないか?
別に自分がどう思われようがそれはかまわないのだ。
ただ、自分が顔を出すことで、小夜子にまでとばっちりがあっては困る。
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