「こいつはもう決定事項だからな。宮島教授も、文章が書けないとか、お前の精神状態を心配して、休学するより留学なんかもいい手段だろう善は急げだっつって、明日にでもお前に連絡するって言ってたぞ」
しばし千雪はムッとした顔を崩さぬまま、京助を睨み付けていた。
「何で俺がまるでお前を追いかけるみたいに留学なんかせなあかんのや!」
それを聞くと京助は、「全くお前は!」と声を大にした。
「メンドくせえやつだな! んなこたどうでもいいだろうがよ! とにかく、年が明けたら行くぞ」
「行くって、住むとことか、どないすんのや?」
「ボストン郊外のウエストンにオフクロのうちがある。今、涼が住んでるが、あいつちょうど四月から東慶大に戻るから、こっち戻ってくるんだよ」
「ほな、うちに戻るんか?」
「うちなんかに戻るかよ。東慶大工学部は奥多摩だ」
「建築やってるんやったか?」
「らしいな」
「らしいて、弟やろ」
「涼だって俺のやってることなんざ知らねえよ。あいつこそ、親戚関係のしがらみが嫌でうちに寄りつきゃしねぇ」
「そうなん」
兄弟は仲が良さそうだったのだが、三人三様ということらしい。
ぼんやりそんなことを考えている千雪はもうすっかり泣き止んでいる。
言葉以外はわかりやすいんだよ。
京助は苦笑し、千雪を引き寄せた。
「京…!」
抗議する間もあらばこそ、京助は千雪の唇を塞ぐとそのままソファに押し倒す。
「……苦しわ! アホ! ボケ!」
唇が離れると千雪は抗議するが、京助の手は千雪のパンツを後ろから引き下ろしている。
「…や、昨日も好き勝手にやりよってからに、待て……て!」
「誰が待つか。一昨日だろ? 昨日は解剖室であくせくしてたんだよ!」
言いながら京助は剥き出しになった千雪を指で絡めとる。
「アホッ! このエロヤロー! ちょ……!」
「せっかく誤解も解けたことだし、エロくならねぇでどうすんだよ」
千雪の罵りも軽くいなして、京助は再び唇を塞ぐ。
それこそエロいキスは舌で千雪の口腔を舐りまわして千雪の意識を翻弄する。
自分では気づかずとも、京助の言葉に安堵したことで心を覆っていた氷が砕け、残っていたわずかばかりの理性に反して一気に熱く高揚した。
千雪が悲鳴のような吐息とともに身体を震わせると、スイッチが切り替わったかのように京助は一段と淫猥に千雪の首筋から胸の突起を攻める。
「……はあ……ん……ん!」
京助の指が触れるたびに息が上がり、千雪は無暗に京助の頭を掻き抱く。
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