「フン、その程度の編集は一緒にやっていく価値はないな。上辺でしか見る目がねえんだ」
工藤も吐き捨てるように言った。
「まあ、気負わなくていんじゃないか? 書けるようになりゃやればいいってことだ」
「はあ」
千雪は笑った。
何か言ったら文句を言おうという構えでいた京助も返す言葉はない。
「来年はボストンで名探偵コンビが活躍ってとこか?」
「茶化さんといてください」
一緒に行くとも言わなかったはずだが、てっきり見抜かれているのが京助は面白くない。
それからすぐ工藤は電話を受けると、せかせかと出かけて行った。
「落ち着かねえオヤジだぜ」
ボソリと口にした京助に、「そうなんですよねぇ、お一人で東奔西走してらっしゃるから、少しはご自分のお身体のことも考えて下さらないと」と鈴木さんが心配顔で言った。
「社員さん何人か入れたらどないですの?」
千雪は鈴木さんの憂いに同感した。
「そうなんですけどねえ、毎年、大学の方にもご案内してるんですけど、なかなか……いろいろありますでしょ?」
鈴木さんの言わんとしていることを察して、「ああ、なるほど」と、千雪は頷いた。
「工藤は面倒な親戚筋とは縁切ってるんじゃないのかよ」
怒ったように京助が言った。
「それはそうなんですけど、入ってから知られて辞められるのが嫌だとおっしゃって、面接の時に、必ずわざと伯父は中山会の組長だって……。それで決まったためしがないんですのよ。私や菊池さん、それに秋山さんは、ほら、工藤さんのご学友の小田弁護士からご紹介いただいてですから」
「やる気がある社員さん、見つかるとええですね」
「ほんと、そうですわね」
千雪の言葉にまた鈴木さんは大きく頷いた。
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