メリーゴーランド45

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 なのに、京助は、いったい何を焦っている?
 何となく、かえってお互いの気持ちのバランスが崩れている気がする。
 ふと見ると、小夜子は義母となる涼の母佐保子と、同年配だろうか、背筋をピンと伸ばした和服の年配の女性と話をしていた。
 おそらく若い頃は絶世の美女だっただろう、その人は凛とした佇まいで丁寧に品よく挨拶をして去っていく。
「千雪ちゃん、お疲れ様」
 小夜子が千雪を見つけて歩み寄ってきた。
「小夜ねえこそ、お疲れ」
「ああ、今の方、綾小路さんのお隣にお住いの佐々木様。綾小路夫人のお茶のお師匠さんですって。私も流派が同じだからきっと佐々木先生にご指導いただくことになるわね。おきれいな方でしょう」
「せやな。何かを極めた人て、隙がないな」
「ああ、でももうパーティとか二度とやりたくないわ。万が一、紫紀さんとダメになっても結婚とか金輪際いや」
 ボソリと小夜子が言った。
「なんや、それ」
 千雪が苦笑する。
「別れんで、ずっと一緒やったら、やらんでええんちゃう?」
「ああ、でも、この先、きっとこのクラスのパーティとか何とか、山ほどあるわね、仕事上の付き合いとかで。考えるとウンザリ」
「仕事やったらまだラクなんちゃう? とにかく一山超えたんやから、まあ次はいつになるかわかれへん披露宴か。俺、どこぞで籠って小説書くから、よろしゅうに」
 とりあえず、千雪は宣言しておく。
「そうはいかないわよ、きっと」
 見ると京助は京助で、紫紀や涼、それに父親に掴まって何かしら声高に話をしていた。
「もうそろそろ、お客様もいなくなったんじゃない?」
「せやな。ほな、お先に」
 千雪はたったかエレベーターへと向かう。
 するとそれに気づいた京助が、家族との会話を打ち切って、千雪のあとをおった。
「てめえ、一人で逃げ出そうなんざ、いい度胸じゃねぇか」
「ご家族と話あるんちゃうのんか?」
「んなもん、すんだ」
 これだ。

 


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