メリーゴーランド67

back  next  top  Novels


「やから、俺の部屋やし!」
「あんな小狭い部屋に大の男が二人で住むとか、それこそあり得ねぇ」
 千雪の発言を無視して速水が言った。
「お前の部屋で二人ってならわからないでもないが」
「遠すぎるわ!」
 すかさず千雪が言った。
「それに近くのスーパーは食材も安くて新鮮なものを置いている」
「お前な………」
 所帯じみた京助の言葉に速水がふうとため息を吐く。
「部の合宿には必ずそのスーパーで食料を仕入れていたからな」
「ああ、空手ずっとやってたって? わかった! そうか、大学を卒業して部から離れたから、手持無沙汰で千雪ちゃんの食事作りに意義を見出したんだな?」
「こいつは何もないと一食や二食簡単に抜きやがる」
「一食や二食抜いたかて死なんわ」
 京助のボヤキに千雪は一応抗議する。
「こんな高級バーにいて、食材が安いとか、矛盾だろうが」 
 カラカラと氷の音をさせながら、速水はバーボンを飲み干した。
「それはそれ、これはこれなんだよ!」
「そうだ、キャベツやにんじんより、あたしのプラダは? バッグはどうなったのよ」
 はたと思い出した理香は京助に文句を言った。
「お前、うちの近所のスーパーでキャベツ一個いくらか知ってるか?」
 京助はキーキー文句を言う理香に聞いた。
「当てたら買ってやってもいい」
「え、キャベツ? んなもん、わかった! 五百円!」
 すぐに京助はブーと口にする。
「お前、キャベツ五百円って、ほんとに何も知らないんだな」
 速水が呆れたように言った。
「お前は知ってるのかよ?」
「当たり前だ! 三百九十七円だ」
 速水の答えに今度は京助がふう、とため息を吐く。
「違うのかよ」
「お前、K国屋とかしか行ったことねぇだろ?」
 京助は千雪を見て、「ちなみにお前は?」と聞いた。
「キャベツ? うーん、二百四十九円!」
 呆れた京助はついつい頭を掻く。
「お前ら、それでよく生きて行けるな! 近所のスーパーじゃ大体百五十円で買える!」
「そんなのわかりっこないじゃない、行ったことないんだもの! キャベツよりプラダのバッグがいい!」
「当たらなかっただろ」
「日向野に宣戦布告したら、プラダのバッグって言った!」
 理香が反論する。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村
いつもありがとうございます