「やから、俺の部屋やし!」
「あんな小狭い部屋に大の男が二人で住むとか、それこそあり得ねぇ」
千雪の発言を無視して速水が言った。
「お前の部屋で二人ってならわからないでもないが」
「遠すぎるわ!」
すかさず千雪が言った。
「それに近くのスーパーは食材も安くて新鮮なものを置いている」
「お前な………」
所帯じみた京助の言葉に速水がふうとため息を吐く。
「部の合宿には必ずそのスーパーで食料を仕入れていたからな」
「ああ、空手ずっとやってたって? わかった! そうか、大学を卒業して部から離れたから、手持無沙汰で千雪ちゃんの食事作りに意義を見出したんだな?」
「こいつは何もないと一食や二食簡単に抜きやがる」
「一食や二食抜いたかて死なんわ」
京助のボヤキに千雪は一応抗議する。
「こんな高級バーにいて、食材が安いとか、矛盾だろうが」
カラカラと氷の音をさせながら、速水はバーボンを飲み干した。
「それはそれ、これはこれなんだよ!」
「そうだ、キャベツやにんじんより、あたしのプラダは? バッグはどうなったのよ」
はたと思い出した理香は京助に文句を言った。
「お前、うちの近所のスーパーでキャベツ一個いくらか知ってるか?」
京助はキーキー文句を言う理香に聞いた。
「当てたら買ってやってもいい」
「え、キャベツ? んなもん、わかった! 五百円!」
すぐに京助はブーと口にする。
「お前、キャベツ五百円って、ほんとに何も知らないんだな」
速水が呆れたように言った。
「お前は知ってるのかよ?」
「当たり前だ! 三百九十七円だ」
速水の答えに今度は京助がふう、とため息を吐く。
「違うのかよ」
「お前、K国屋とかしか行ったことねぇだろ?」
京助は千雪を見て、「ちなみにお前は?」と聞いた。
「キャベツ? うーん、二百四十九円!」
呆れた京助はついつい頭を掻く。
「お前ら、それでよく生きて行けるな! 近所のスーパーじゃ大体百五十円で買える!」
「そんなのわかりっこないじゃない、行ったことないんだもの! キャベツよりプラダのバッグがいい!」
「当たらなかっただろ」
「日向野に宣戦布告したら、プラダのバッグって言った!」
理香が反論する。
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