メリーゴーランド68

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「返り討ちに逢ったくせに、だからマティニでも奢ってやるよ」
「何だ、日向野に宣戦布告って? 日向野って理事長の姪とかって、お前の縁談の相手かよ?」
 軽く京助にあしらわれた理香の発言に速水は興味を示した。。
「そうよ! いい加減ウザいから、京助はあたしのもんだって宣戦布告して来いっていうから、日向野に言ってやったわよ!」
「太刀打ちできなかったくせに」
「理香が太刀打ちできないって、どんな女だよ?」
 速水が口を挟む。
「さあ、男の前とか、祖父や父親やそういう輩の前ではお嬢様ぶったクソ女よ。日向野こそ、外見に騙される男が多いんじゃない?」
 聞いてみてよ、と、理香は日向野とのやり取りを速水にも聞かせた。
「何だよ、これ。ハ、これ聞いたら百年の恋も一気に冷めるな」
「でしょ?」
「しかし、お前、ヘタクソだな、棒読み」
「うるさいわよ!」
 速水にまでダメ出しされて、理香はきっと睨む。
「わかったわ、次はうまくやってやろうじゃないの!」
「フン、うまくいったらプラダな」
 京助はすると立ち上がった。
「帰るぞ」
「飲み明かすんやないのんか?」
 千雪も揶揄しながら立ち上がる。
「何だよ、他の連中にも千雪ちゃんをお披露目するんじゃないのかよ?」
 へらっと速水が言った。
「するか。ただし、真夜中の何たらとか、金輪際口にするな」
 京助としてもこれ以上千雪を苛立たせたくはない。
 そう言いおいて京助は千雪を促して店を出て行く。
「それにしてもびっくりよね」
 二人の後ろ姿を目で追って理香が言った。
「あの千雪ちゃんが!」
「フン、あのガキ、生意気なんだよ」
「克也にも太刀打ちできないみたいねえ」
 理香に笑われて克也は渋い顔をする。
「まあ、あいつ、京助、一応仁義を通しにきたんだろ。俺らが面白がって、千雪とは知らなかったんだが、真夜中の恋人なんぞと呼んで、また昔みたいにダメにされてたまるかってな」
「美沙ちゃんだっけ? 別にイジメたわけじゃないのにさ」
 理香がぶーたれる。
「まあ、京助としては自分が守ってやれなかったと思ってるのさ。俺は見抜いてたけどね。京助は自分の仲間に紹介したかっただけなんだろうが、彼女は自分と周りを比べちまったんだ。まだ彼女の中で自己肯定感が低かったのかもな」
「うーん、あたしも、美沙ちゃんには京助は重すぎると思った」
「フン、千雪くらいがちょうどいいってか? あの先輩を先輩とも思わないふてぶてしさとか」
「あれは男でものめり込むわね。悔しいけど、何? あの美貌?」
 理香は拳を握りしめる。

 


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