芝の紹介してくれたマンションは、松濤の閑静な住宅地の一角にあった。
「えろ、洒落とおる。デザイナーズマンションいうやつやな」
三田村が見上げて呟いた。
三階建てのマンションには地下に駐車場が戸数分確保され、階段があちらこちらにある。
中央にガラス張りのエントランスがあり、そこに管理人室があった。
「ああ、芝さんから伺ってます、黒岩さん。車、地下の二台分は予備スペースだからそこに停めてください」
柔和な笑顔の初老の男性は増田と名乗り、三人をエレベーターへと促した。
「住人の皆さん、お若い方が多いので、階段で行かれますが、重い荷物とかはここ使ってください。宅配ボックスがありますから、クール便以外は不在の時も荷物を自由に受け取れて便利ですよ」
三階でエレベーターを降りると、増田はカードキーで部屋を開けた。
「オートロックですし、カードキーだけでなく、スマホでも操作できますからね」
部屋は天井が高く、明るかった。
フラットな床は真新しい木の匂いがした。
「おお、明るい!」
三田村が早速テラスに向かう。
「アイランド型のキッチンですから、シェフとお聞きしましたので、広くお使いいただけますよ」
増田が得意げにキッチンの説明をした。
「ええなあ、これ」
研二はすぐにそのキッチンを気に入ったようだ。
端に小さ目のシンクが設置してあるアイランド型の作業台、壁際には大き目のシンク、IHヒーター、食洗機、ウォールオーブンが組み込まれている。
「芝さん、そういうとこまで考えてくれはってんな」
千雪も機能的でシンプルなキッチンやシンクを眺めた。
「メゾネットなん?」
三田村が勝手に螺旋階段を降りていく。
「おお、壁一面クローゼット」
三田村の声につられて研二や千雪、それに増田が続いて階段を降りるとこちらも光がまばゆいくらいの明るい部屋になっている。
「どの部屋も角部屋になってますから、明るいですし、この部屋は芝さんが気に入って購入されたものなんですよ」
増田がニコニコと笑った。
「何か、どこにもケチつけるようなとこないやん。申し分なしや」
三田村が断言した。
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