メリーゴーランド8

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「そんな風に頭ごなしなおっしゃりよう、どうかと思いますわ」
 言葉は丁寧でも小夜子は負けてはいない。
「あんたに関係ねぇだろ!」
「ないはずがないでしょう? 千雪ちゃんは夏緒叔母様の大事な忘れ形見なんです。幸せになれないようなお付き合いはやめていただきたいわ」
 その時またドアが開いた。
「失礼、廊下まで話が筒抜けですよ」
 ドアを閉めながらにこやかに登場したのは紫紀である。
「京助さんのお兄様でしたわね? 弟さんと千雪ちゃんのお付き合いを御存じですの?」
 小夜子は今度は紫紀に詰め寄った。
「ええ。基本恋愛は本人たちの自由ですからね」
「でも、ご家族やご親戚の方々はよく思われないかもしれないんじゃありませんの?」
「いや、本人たちが決めることで周囲がどうということではないと思いますよ? 偏見がある連中は勝手なことを言うかもしれないけど」
 紫紀の発言はのらりくらりという感じで、小夜子は眉を顰めた。
「さきほども京助さんにはご縁談がおありのようでしたけど?」
「だからあんなのは勝手に言ってくるだけで、俺には関係ないし、受ける気もないんだよ!」
 隣から激高した京助が口を挟む。
「そうですの? とにかく私は千雪ちゃんが不幸になるようなお付き合いは賛成できかねますわ」
「幸せになるか不幸になるかなんてわかりませんよ?」
 あくまでも穏やかな言葉で紫紀が言った。
「でも………」
「小夜ねぇ」
 まだ食い下がろうとする小夜子に、千雪が声をかけた。
「俺、周りでそやっていろいろ言われるのんがウザいねん。心配してくれるんはわかるけど、俺のことやし」
「千雪ちゃん」
 小夜子は悲しそうな顔をした。
「おかあちゃんもそやけど、小夜ねぇかて周りのことなんか二の次で結婚したやん。せえけど、おかあちゃん、ちっとも原のご両親に悪いとか思うてへんかったで? いっつも幸せそうやったし」
 千雪にそう言われ、初めて小夜子は表情を緩めた。
「わかったわ」
 しかし次には京助を振り返った。
「でも千雪ちゃんを不幸にするような真似をしたら、私、黙ってませんから」
 小夜子はそう言うと、部屋を出て行った。
「何、どんくさいと思ってたら、結構きついな、お前の従姉」
 小夜子の後ろ姿を目で追いつつ、京助はしれっと言う。
「いや、見た目そそとして何もできません、みたいな顔をしてて俺らにくってかかるとこ、ギャップ萌え?」
 紫紀がニヤニヤとそんなことを言う。
「はあ?」
 京助は怪訝な顔をして兄を見た。
「九条の叔父さんからの話、断ったのか?」
 怪訝そうな顔を向ける京助に紫紀が尋ねた。

 


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