お正月14

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 時折小雪が舞い、年が明けても寒い元日である。
 夕方から小林家には二、三人どころか総勢二十人ほどの面々が集まり、賑やかな正月になった。
 春に集まった同級生やら剣道部員らに加え、桐島と三田村が揃って現れ、和服姿の江美子や研二も顔を見せたし、当時のクラス委員でK大に進学した才媛住田優里奈もやってきたので前回紅三点だったところを辛うじて一つ数を増やし、菊子は座敷が終わったら飛んでくることになっていた。
 研二は初夏に父親になったことでみんなからからかわれながらも祝福されていた。
「ああ、研一」
 周りから子どもの名前を聞かれて笑みを浮かべ、静かな声で答える研二は幸せそうだ、と千雪は傍から眺めていた。
 優しい父親になるだろうと、研二のことをそう思っていた。
 それは間違いない。
 けれど、心の奥底から何かしらの不協和音が聞こえるのを千雪は急いでシャットアウトした。
「ふんぞりかえって何や、徹夜明けやて? 千雪」
 朝起きてから身体が自分のものではないくらいガタガタな千雪は、半分眠ったまま京助に世話を焼かせていた。
 フン、あたりまえや、ヤリタイだけやりよってからに。
 いい加減宴が盛り上がってきてからもソファに陣どっている千雪は、まさか本当のわけは言えないため、原稿に追われて徹夜明けということにしておいた。
 井原もまた京助と一緒にキッチンから料理を運んだり、酒を運んだりしてくれている。
 こういう場所では慣れていないものにガチャガチャやられるのは好きではないと、率先して動いている。
 京助がいつの間にか頼んでいた鮨が運び込まれ、昨夜京助が炊いたブリ大根をはじめアサリの酒蒸しやサケの南蛮漬け、数種類パスタ、魚介類のパエリア、それにエビやカニなどと豪快な料理がテーブルに並んでいく。

 


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