お正月21

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 住田がグラスを持たせ、桐島がビールを注ぎ、江美子がにっこり笑って聞いた。
「は、はあ……あの」
 佐久間がしどろもどろで答えるうち、腕組みをした京助がジロリと睨みつける。
「てめ、わざわざ何しに来た?」
「あ、京助先輩、あけましておめでとうございます! 何しにて、せやからお年賀ですて。先輩もこっちにおられるいうし……」
 実を言えば、新幹線のホームで見た光景が頭から離れず、どうしても確認したいという思いにかられて、佐久間は実家のある大阪市東成区からわざわざやってきたというわけである。
「恵美」
 そこへ三田村が声をかける。
「あ、そろそろやろか」
 桐島が立ち上がってまたピアノに向かうと住田と江美子もそれに続く。
「大阪からわざわざ来たんやて?」
 三人ムスメに代わって三田村が佐久間の横に陣取り、グラスにビールを注ぐ。
「はあ、せや確か一度、研究室に尋ねてきはった…」
「三田村や」
 ピアノがまたメロディを奏で、今度は三人で人気ミュージシャンのバースデーソングを歌い始めるとあちこちから冷やかしやら声援やらが飛び交う。
 佐久間のことは三田村に任せて千雪は剣道部の仲間と話しながら、三人の歌が始まるとそちらに顔を向けた。
「あれ、どなたはんの誕生日でした?」

 


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