お正月22

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「千雪。先輩の誕生日くらい覚えておけよ。まあ、実際は暮れの三十日だが」
「え、あ、そうでしたか! そうかて、先輩そんなことちっとも話してくれへんし」
 やがて大喝采のあと、「ここで重大発表があります!」と片手を上げて声を張り上げたのは住田だ。
「うち、ずっと千雪くんが好きやったんです!!」
 途端、おおおっと騒めき、男どもがやんややんやと囃し立てる。
「住田! お前、こないだ婿とったばっかやろーが」
「はい! 千雪くんをずっと好きだったんはうちでーす!」
 ところがこれに乗って片手を上げて宣誓したのは、今度は桐島だ。
「おーーーっと、桐島、カレシの前でよう言うわ!」
「ほんまやもん!」
「いややわ、千雪くんのこと好きやったんは、うちやて、みんな、知ったはるやろ」
 今度は負けじと江美子が宣言する。
「おい、千雪、どないする? どれをとっても不倫やでぇ」
「やっぱ、作家センセはそのくらいせんとな、千雪」
 からかう声があちこちから降ってくる。
「せやなー、ほな、順番に……」
 半分呆れながら千雪は嘯いてみせる。
「おーっ! アニさんに負けんなよ、千雪」
 ニヤニヤと三田村が茶化す。
 ひとしきり騒いだあと、桐島がピアノに向かいショパンのエチュードを弾きはじめると、居間が一瞬静まり返った。
 続けてノクターンやソナタを三曲ほどを弾き終えるとまた大喝采だ。
「なあ、先輩、桐島さんて美人さん、例のピアニストはんですやろ? 速水さんが振られたいう」
 いつの間に千雪の後ろに来ていた佐久間が聞いた。

 


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