翌朝は、朝まで飲んでいた連中がまず腰をあげ、死屍累々とその辺に転がっていた連中も、京助の雑煮食うか、の声で目を覚ました。
目が覚めた佐久間は一瞬そこがどこだかわからず、京助に頭をはたかれてようやく事態を呑み込んだ。
「うわ、美味そうな匂いや」
どこまでも食い意地の張っている男は、雑煮を平らげ、片付けるからとっとと帰れよ、の京助の命令に従って残っていた仲間と一緒に家を追い出された。
「あれ、みんな、帰った?」
千雪が目を覚まして階下に降りてくると、居間では京助と井原が雑煮を食べている。
「おう、雑煮、食うか?」
「うん、井原、すまんな、すっかり色々やらせてもて」
京助がキッチンに立つと、千雪は辺りを見回したが、片付けも大方済んでいる。
「俺はこういうの好きやからええんや」
物静かできりっと男前な男はそう言って笑う。
「アニさんに、色々レシピ教えてもろたし、また店で使こてみよ思て」
今は親戚のカフェバーで修業中だが、井原にはいずれ自分の店を持つという目的があった。
礼にと、京助がコニャックとシャンパンが入った袋を渡した。
「お、どっちも高級そうなやつ、おおきに!」
こうしてみんなが帰ってしまうと、京助と千雪だけになり、家の中は急に静まり返る。
「ちょっと寝る」
京助がソファに横になった。
「千雪、ちょっと」
ぼんやりしていた千雪は、京助に呼ばれて傍らに立った。
「何や?」
そんな千雪の腕を引いて、項を抑え、京助は唇を奪う。
窒息しそうなキスのあと、ポンポンと千雪の頭に手を置くと、京助は目を閉じた。
何やら怒涛のような年明けに、新しい年の慌ただしさを予感しながら千雪も向かいでまたうとうとし始めた。
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