かぜをいたみ79

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「あ、大丈夫です。新宿西署に後輩がいて、情報をもらっただけなんで、広瀬くんとか工藤さんの名前は一切出してません。それに、関係者から広瀬くんの名前も工藤さんの名前も出てきてませんよ」
 それを聞いた工藤は、確かに、金輪際良太に関わるなと男たちを脅しはしたがと眉を顰めた。
 中山会がバックにいると思い込んで良太の名前を出さなかったとも考えられなくもないがとは思った。
だがもしかすると、自称Tという影の男が絡んでいるのではないかという考えが工藤の頭を掠めた。
 滅多にかかっては来ないが工藤のプライベートコールの一つはこの男だ。
 工藤が組関係の面倒ごとに巻き込まれそうになった時に、この男が現れて処理していると知ったのはいつだったか。
 気づいたのがその頃でも、実際はもっと以前からいたのかも知れない。
 いずれにせよ、小児性加害、児童ポルノ、不同意性交等で今世間を騒がせている男たちの事件に良太が関わったことは、世間に晒されることはないようだ。
 だがここで一つ、気になることが浮上した。
 千雪が渋谷に情報を流して捜査させたから連中が捕まったというが、よもや千雪が何か関わったわけではないだろうな、と工藤は険しい眼差しを千雪に向けた。
 結構長い期間にわたっての犯罪だったらしいし、動画を撮って被害者を脅していたことで、これまで足がつかなかった事件だが、それを所轄が数日でいとも簡単にクラウドで児童も含めたレイプ動画で金儲けまでしていたことまでよく摘発できたという気がしないでもないのだ。
 工藤の危惧がやがて表面化したのは、千雪の二人の同級生の登場でのことだった。
「なんやね」
 千雪は携帯がまた鳴ったので画面を見ると、三田村の文字があったので、ぞんざいな言い方で電話に出た。
「なんやねやないわ。飲み、誘お思たのに、お前、今どこや?」
「今? 青山プロダクションや。映画関係のパーティに駆り出されてん」
「パーティ? ええなそれ、俺らも仲間してや」
「映画関係のパーティやし、お前関係あれへんやろ」
「ええやん。研二も一緒やね、今」
「え、研二も?」
 研二の名前に千雪はちょっと揺れた。
「まあ、ええやろ、内輪らしいし」
 つい勝手にOKを出した千雪は、「三田村と研二がそこまで来てるねんけど、混ぜてもろてもええですよね?」と一応工藤の承諾を得る。
 しばらくして現れた三田村と研二は、小野万里子らに歓迎され、中に入ってきたが、声を掛けようとした千雪は、研二がひどく険しい顔をしているのに気付いた。

 


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