かぜをいたみ81

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「クラウドをハッキングしたやつがいるらしいって、サイバー犯罪対策課が血眼で探してるらしいけど、やっぱ行き着いたのは横浜のインターネットカフェで、そこでハッキングしたPCまでは辿り着いて、カメラに映ってる男を何とか確認したものの、チューリップハットに顎鬚眼鏡のオッサンで、このクソ暑いのにレインコートを羽織ってたっていうとこまででTHE ENDだったようだ」 
 それを聞くと、「あかんやないですか、日本の警察がそれでは。これからサイバー犯罪が起きたら対処でけんでしょうが」と千雪は呆れて突っ込みを入れた。
「全くだよ。とはいえ、千雪くんに辿り着いてもらっても困るし」
「種明かしせんといてくださいよ?」
「それはまあ、広瀬くんや工藤さんが迷惑を被るからっていうんだろ? でも大丈夫なのか? 広瀬くん」
「ええ、パッと見は平気そうやけど、でも精神面ではちょっと心配ですわ」
「そうだよな、今回捜査で見つかった被害者に男子中学生がいてね、被害に合って以来その子はずっと精神科に通っているようだが、時々PTSDに悩まされているって、お母さんが泣いておられて、余罪が出るわ出るわ、しかもひどいもんばっかで、はあ」
 渋谷は自分のことのように大きくため息を吐いた。 
「ほんまに極刑にしたってもあきたらんくらいや」
 千雪は憤りを抑えきれずに言い放つ。
「心情としては連中をもう娑婆には出したくないよ」
 渋谷も実情を知れば知るほど怒り心頭のようだ。
 また何かあったら連絡を入れると言って渋谷は電話を切った。
「渋谷か」
 いつの間にか近くに立っていた工藤が聞いた。
「ええ、やつら、ほんまに地獄行きな所業をやっとったみたいで」
 それを聞くと、そうか、と言って工藤は口を噤む。
 退院してきた時、平気そうに猫と戯れていた良太だが、もしか去勢を張っていたのではと思わないでもない。
 しばらく注意して良太のようすを見た方がいいと思う工藤だが。
「工藤さんも何か、面倒ごと抱えてはるとか?」
「ああ?」
「何や、難しい顔しはるから」
「フン、面倒ごとだらけだ」
 そう言うと工藤は秋山を呼んで、仕事の話になった。
 いつの間にか万里子やアスカらが研二と三田村を囲んで笑っているのを見て、千雪も笑みを浮かべる。
 三田村と研二は、辻から話を聞いて心配して来てくれたらしい。
 仲間はやっぱ大事にせなあかんな。
「それで、センセ、何であんなコスプレしてるわけ?」
 スタスタとまた流がやってきて千雪に聞いた。
 うるさいやっちゃ。
「そら、いつもあちこちでぞろそろと女の子に後をつけられたりするのがウザったいからに決まってるやろ」
「言うじゃねぇか」
 怜悧な微笑を讃えた美しい顔でこうもクールに言われると、流も苦笑するしかなかった。

 


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