サンタもたまには恋をする 62

back  next  top  Novels


「こらこら悠ちゃん、かなり酔ってるな?」
 藤堂はくすくす笑いながら悠からボトル取り上げようとするが、「うっせー! 誰が酔ってるもんか」とボトルを放さない。
 酒を飲んでさんざん言いたいことを言った悠は、挙句にボロボロ涙を零し始めた。
「どうせ、俺は天涯孤独だしな」
 手の甲で涙を拭いながら嘯く悠を見て、藤堂はおろおろと宥めにかかる。
「何言ってるんだよ。悠ちゃん。君は一人じゃないだろ」
「いい加減なこと言うな! とっとと美香って女のとこ行けばいいだろ! それともあの直ちゃんってコがいいのかよ!」
 酔っているから自分が何を言っているのか、悠もわからなくなってきた。
「おや、何だか妬いてるみたいなせりふだな」
「うっせー! あのシュークリーム、ほんとは美香にやるつもりだったんだろ!」
 シャツの袖で何度も拭うのだが、涙が止まらない。
「悠ちゃん」
「悠ちゃん、言うな!」
 黒い瞳から涙が溢れて落ちるのを見ているのがいたたまれないと思うや、次には藤堂は悠を引き寄せていた。
「よしよし、ちょっと飲み過ぎたな」
 しばらくそうやって悠の額や髪を優しく撫でていた藤堂だが、理性が残っているうちに寝かしつけてやろうと、奥の広いベッドへと悠を抱き上げて運んだ。
 前にやはり酔い潰れた美香を抱き上げたことがあるが、彼女とさほど変わらないくらい華奢で痩せっぽちな身体がやけに愛おしい。

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ